10月は秋の気配

【スマホ小説】ボス 12

ボスのお店はいつになく盛り上がっていた。韓国のトップスターを迎えてマネージャーのチ、プロダクション社長の朴、それにホソンと呼び出されたチングのスジンまでが揃ったのである。

「明後日の試写会が終わるとハヌルさん達は韓国に帰るんですよね。明日はどうするんですか?」と、いい気分のスジンがマネージャーのチに尋ねた。

「あの…」とチが言う前にハヌルが口を開いた。「久し振りに私が生まれ育った東京を見て回りたいと思ってるんですが、道に詳しい人がいなくて…」と言うとスジンは「じゃあ、私が案内しましょうか?」と言ったが、ハヌルはボスの顔をジッと見ている。

ボスはそれには気づかずに、テスに指示を出しながらテーブルに出す料理を作っている。スジンは肩をすくめて「おいボス。ハヌルさんが話があるみたいだぞ」と言った。ボスは顔を上げてハヌルを見つめた。

ボスと目が合った。「ドクン!」(あ…)初めて正面からボスと目を見合わせたハヌルは驚くほど胸の高鳴りを覚えた。ハヌルは自分の反応にビックリしながらも「ボス씨 、もしよろしければ明日、東京を案内して頂けませんか?」と言った。ボスは驚いた様子だったが暫く考えて「私でよければ…」と静かに答えた。


ハヌルはチと一緒に、ボスとスジンのエスコートで東京都内を見て回った。ハヌルの生まれ育った中野、日本一の繁華街歌舞伎町、この頃拡張して来た新大久保の韓国人街…「ボス씨가 나서자란 동네도 돌아보고 싶고 학교도 보고싶네요. 」

ボスやスジンが育った三河島や第一初中も訪れた。丁寧に説明してくれるスジンはボスとのエピソードを面白おかしく話した。タバコを吸ってる所を見つかった路地裏、初めてお酒を飲んだお好み焼き、クラブの帰りに良く行った駅前の中華料理屋…

その身振りがおかしくてハヌルとチは声を上げて笑った。「やはり日本は良いわ。誰も私の顔を知らない…あ〜自由だわ〜」と両手を広げて大きく息を吸った。そしてボスの腕を組むと寄り添いながら歩き出すのだった。


ホテルから見える夜景を眺めながらハヌルはここ何日間にあった事を思い出していた。誰もがチヤホヤするスターの自分が叱られたのは新鮮だった。彼の仕事ぶりや雰囲気、人間味に興味が湧いて今日のエスコートを願ったのだった。

(ボス…か…)
ハヌルは、夜景が見えるガラスに映る自分の顔を見つめながら、ニコリと笑った。

コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。

           続く

            

1 COMMENT

三河島~

タバコを吸った路地裏は~ たぶんあそこっ😁
駅前の中華屋は~「〇ん〇ん亭」~😊
な~んだよ、私と一緒じゃん~😘
んで~ ハヌルの気持ちが通じたのか~
コンコンの主は~ ボスか?
いよいよ~ ラブラブ始まっちゃうの?
でも、娘さんの存在が…😞
んで? んで? どうなるの? わっくわっく~ 

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