春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 14

東京見物の日の別れ間際、ハヌルはチが席を離れた隙に「ボス씨 これ…」と言いながら「明日、ホソン社長の映画館で私が舞台挨拶をします。良かったら観に来て下さい。따님도 함께요. 」とチケットを2枚渡してくれた。

オギの事はハッキョに行った時、話題にのぼったのだった。行くかどうか迷ったボスの背中を押したのは思いがけないマネージャー、チさんがハヌルを呼ぶ時の名前だった。
「ヒャン…」
ボスは驚いた。(彼女もヒャンと呼ばれてるんだ…)ボスは行く事に決めた。


新宿の繁華街から少し入ったビルに囲まれた一画に、ホソンの映画館はあった。映画館の正面入口の天井には金ハヌルの立体ポスターが飾られ館内はそれこそ金ハヌル一色だった。

映画の題名は「ミス・ロー(法廷の華)」弁護士役の法廷物語である。ボスはハヌルの顔で溢れる通路を通って場内に入った。

席数は300位だろうか、階段式の客席はほぼ埋まっていた。指定された席に座る。ホソンが豪語するだけあって、赤い椅子は背もたれが高くクッションも心地よい。隣には娘のオギが座った。

中学生になったオギはオモニに似て綺麗な娘に育っていた。特に小さな顔に大きな瞳が印象的で、笑うと頬にエクボが浮かぶ。オモニと同じで舞踊部で頑張っている。

場内のライトが落とされて舞台をライトが照らした。試写会を始めるアナウンスがあって出演者と監督が舞台に登場した。スポットライトを浴びたハヌルは一際輝いて見えた。

カメラのフラッシュの中、笑顔を絶やさぬハヌルは、背中に深く切り込みを入れた黒のロングドレスをなびかせて、ゆったりとそして優美に登場した。そしてマイクを握ると「本日はこんなに沢山の方々の御来場、誠にありがとうございます」と流暢な日本語で挨拶をすると深々と頭を下げた。

「アッパ、さっきも思ったんだけど、この人ちょっとオンマに似てるね」とオギが話しかけた。「そうだな、ちょっと面影が似てるな…」と笑いながらオギの顔を見た。オギはボスの顔を見て笑いながら「アッパもまだ若いんだしさ、彼女が出来てもおかしくないんだけどね」とおませな事を言った。

「なに生意気言ってんだよ。アッパはお前を育てるので手一杯だよ」とオギの頭をポンポンと叩いた。ハヌルを始め監督、出演者は挨拶を終えて退場した。ほどなく映画が始まった…

映画を見終わった観客たちは談笑しながら出口へと向かった。ボスとオギも人波にのまれながら歩いた。突然出口の方から歓声が聞こえた。ハヌルを始め出演者たちが出口で見送ってくれているのだった。ハヌルは一人一人と握手をしながら軽く会釈をしていた。

ボスは下を向いて素通りしようとするとハヌルの方がボスを見つけて声をかけてきた。「ボス씨、ありがとうございます。映画はよかったですか?」周りの視線がボスに集まった。他の人は会釈でやり過ごしてたハヌルが、思いがけず客に声をかけたからだった。ボスは「は、はい…」と驚いて立ち止まった。

「アッパ、ちょっと待ってよ」とオギが声をかけるとハヌルはニコリと笑いながら「あなたが娘さんね。몇학년이지?」と聞くのでびっくりしたが「중학교2학년입니다」とハキハキと答えた。

「어머 、똑똑하네. 보수씨 따님 잘키우셨네」と言うとハヌルはオギの耳元で「これからもよろしくね」と小声で言うと眩しいような笑顔でオギの顔を見た。

オギは「はい」と思わず言うとハヌルの顔を見つめた。マネージャーのチはジッとハヌルを睨んだ。

           続く

2 COMMENTS

バーのマスター

アイゴぉぉぉ~ 随分とおマセな娘さんだ事~ オギ😊
アッパに「女作れっ」って💦 できた娘さんだぁ~👍
でも、コブ付きの男を好きになってくれる女性って、そうはいないですよね~😢
ヒャン… 
なかなか思わせぶりな小説だなぁ~😊 でも、是非ハッピーエンドねっ👏
んで? んで? それからどんな展開??? わっくわっく

懐かしい名前

ヒャン?
おれの若い時付き合ってた後輩と同じ名前だ🎶🤣

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