春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 39

ボスはいつものように「ファラン」にいた。時計は23時を指していた。カウンター席だけの狭い店だがお客でほぼ埋まっている。ボスとテスは接待を続けながら忙しく動いている。

その時「ギィ」と扉が開き1人の男性が入って来た。彫りの深い顔、特に眉毛と瞳の間が狭く東洋人離れした顔だった。整った鼻の下の薄い唇の口が何となく冷たい印象を与えた。「いらっしゃいま…」挨拶をしかけたテスは言葉を止めた。

その客はきびすを返しそのまま出て行ってしまったからだ。ボスとテスは顔を見合わせて苦笑いをした。人気店「ファラン」ではよくある事だった。

時計が0時を指した。テスはユーセンで「蛍の光」を流す。一人二人と客が帰って行く。「ありがとうございました」最後の客を見送って後片付けに取り掛かる。グラスを洗い店内を掃除してテーブルを拭く。後片付けを終えた二人は店の電気を落として店を出た。

ボスは「お疲れさん。じゃあ明日な」と言って歩き出した。テスも「お疲れ様でした」と軽く頭を下げてボスとは反対方向へ歩き出した。

その時テスの後ろで「ドコッ」と言う音がした。と同時に何か光が走った。「?」何事かと後ろを振り向いたテスの目に異様な光景が飛び込んで来た。誰かが棒の様な物を持って倒れた相手を殴りながら何かなじっている。「!?」テスは走り出した。

「テメェ、何してんだ!」と駆け寄った。倒れた相手はボスだった。ボスは頭から血を流して倒れている。「マスター!マスター!しっかりして下さい!マスター!」ボスは目を開けない。

暴漢はテスにも殴りかかって来た。テスは、相手の腕を掴んだと思うと素早く腰を落として相手の懐に入った。その瞬間相手を投げ飛ばした。

「グッ!」と言ううめき声を上げて相手は地面に倒れた。学生時代柔道部で体育大会でも優勝の実績のある有段者だ。

テスは相手の顔を見た。そして驚いた。さっき店に顔を出してすぐ出て行った男だった。その男は興奮してまだ喚きながら下から殴ろうとしている。テスは相手が持っている棒を取り上げた。そして相手を組み伏せて救急車を呼んだ。

「テメェ、一体誰だ!」と言いながら組み伏せる手足に力を入れた。すると「야!이자식아!하늘은 내 여자란 말이야. 니가 감히 …더이상 하늘과 뭐있으면 그년도 무사하지 못해 ! 」とわめいている。

相手を抑えながらテスは警察に電話をした。その男はテスを押し退けようと暴れたが、有段者のテスの抑えは容易に外れなかった。程なく救急車とパトカーが着いた。テスは警察官に犯人を預けて、簡単にいきさつを説明した。

警察官はその男を現行犯で緊急逮捕してテスに事情を詳しく聞きたいと言った。テスは「被害者が気になるので、あとから伺ってもいいですか?」と言って救急車に同乗した。

続く

1 COMMENT

いつも混んでる「ファラン」💕

あああ~💦 やっちゃった~🤦‍♂️
ボス大丈夫かな? 心配だなぁ~😢
でも終業が「蛍の光」??? 「そっとおやすみ」か「ラブイズオーバー」くらいにすればいいのに~👀 もしくは、「軍艦マーチ」???💦
んで? んで? 続きが気になるな~

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