春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 4

「走れ、走れ〜!」「パスパス!」運動場に掛け声が響く。今年結成された新生「ラグビー部」だ。まだ、ウェアーも揃わない何もない中からの出発である。その中にボスの顔があった。

同じ中学出身の先輩達の呼び掛けに応じてラグビー部員として頑張っていた。あの公演以来、舞踊部ともソヒャンとも関わりが無くなった。5階の廊下から下を見てると時々練習着を着た舞踊部員を見かける。

(お…)と目で追うが、知らぬ間にソヒャンを探してる自分に気付き、苦笑いをしながら首を振る。「お、舞踊部だ。スミヌナはいないかな〜?」と笑いながらスジンが話す。

「お前、ソヒャントンムとはその後会ったか?」「いや」「何で?折角知り合えたのに、勿体ないと思わないか?」「いや、別に…」とボスは素っ気なく答えた。男女関係に興味がなかった訳ではないが、積極的ではなかった。

そんなボスに夏休みに入って、すぐに行われた河口湖でのヤヨンで転機が訪れた。

ボス、スジン、ホソンの3人のバンガローは水洗い場のすぐ隣で、人の行き来が激しく落ち着かない場所だった。神様は時に、思いもよらぬ出来事を演出してくれる。

ボスがたまたま部屋を出たら洗い場に来たソヒャンと鉢合わせになった。「あ…」お互い声を上げたが会釈をして別れた。すれ違い様ソヒャンの友達が「ヒャン、彼じゃないの?気になるって言ってた子…」と言う声と「シッ!」と人差し指を口の前につける仕草をボスはチラリと見た。慌てて走り行く後ろ姿をボスは黙って見つめた。

その日の夜、ある意味メインイベントであるフォークダンスが開催された。松明が焚かれ暗闇の中、まだあどけなさが残る男女の顔が、ユラユラと浮かび上がる。

「さぁ、フォークダンスを始めるぞ!男子は外側、女子は内側に丸円を作れ!」と年配のオジョンファン先生が声を上げたが、誰も動こうとしない。「恥ずかしいよな〜」「フォークダンスって…なんかな〜」と口々に文句を言いながらもそこは思春期。視線は異性に向かっている。

「ほらほら、ぐずぐずしないで」と女性教員が男子の手を引っ張る。「チェッ、しょうがねぇな〜」と嫌がりながらも、内面は喜んで列に加わるのであった。

「흘라리 」の音楽が鳴り、ダンスが始まった。普段は話しもしない男女がこの時とばかり手を握り肩を組んで踊る。

男女とも踊りながら次の人の顔をチラリとチェック。お目当ての相手が近付くと胸が高鳴るのは男女を問わない。ボスは淡々と踊っていたがふと何組か先を見るとソヒャンの顔が見えた。

(あ…ソヒャントンムだ…)ソヒャンは微笑みながら男子と手を繋ぎ踊っている。何故か途端に胸がザワつき始めた。

(何だ?この気持ちは?)とボスはチラチラとソヒャンの方が気になってしょうがない。段々とソヒャンが近づいて来た。

その時だった。「はい、それでは今日はこれまで!各自部屋に戻りなさい」とのアナウンスに続いて音楽も止まった。学生達は一様に「何でだよ〜!」「早ぇよ〜」と声を上げた。

初めはあれだけ時間を潰しておいて、今になって早いと怒る。先生達は(全く勝手な奴等だな!)と半分呆れ顔で指導にあたる。ボスは呆然とその場で立ち尽くした。

          続く

            

3 COMMENTS

正座嫌だった🤣

オジョンファン❗笑
そろそろ出るかなと思っていた固有名詞が出ましたね。🤣
私達女子にとっては、余り思い出したくない名前ですね~。🤣
話しに出る逸話は、今では笑い話しですけどね。

チョコレートパフェ

ヤヨン~💓 もう青春ですね~どきどき😊
オーせんせい~💦 もう恐怖ですね~ビクビクっ😆
この二人、もう両想いなんだから~ ボスが「お茶しないっ👍」って十条駅前の風月堂にデート誘っちゃえよ~👍 って、独り言でした💦 じれった~い じれったい♬
んで? んで? その次は、どんな展開?👀👀👀

風月堂は溜り場だった

あの時代はやたら硬派ぶって格好ばっかしつけてたけど、今では積極的にフォークダンス踊りたいです🥰

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