【スマホ小説】ボス 42

ボスは静かに病室のベッドで寝ている。頭に巻いた白い包帯が痛々しい。ベッドの傍らにはパイプ椅子が置かれそこにテスが座っている。

「マスター、絶対許したらダメですよ。聞いたら刑事では執行猶予が出たみたいですけど、民事は告訴すれば…」と話した時、オギが花束を花瓶に入れて入って来た。

「なーに、テスさん。まだ言ってるの?あまり焚き付けたらダメよ」とテスをたしなめた。個室の病室にしては広めな部屋である。大きな窓があり、そこから銀杏の木が見えている。ボスはリクライニングのベッドを半分くらい立ててその銀杏の木を見つめている。

「いくらなんでも…本人が来れないのは拘置所にいるからしょうがないけど、弁護士だけよこして代理人なりが来て謝罪するのが当たり前でしょ?誠意が見えないんですよ」と憤る。と言うのも少し前に弁護士が来て話しをして行ったからだ。

弁護士は名刺を出して「弁護士の渡辺です。キンチョロさんの弁護を担当しております」と言った。ボスは名刺に目をやりながら「今日は何か?」と言うと弁護士を見た。「この度は誠に申し訳ありません。お怪我の経過は如何でしょうか?」と頭を下げた。そして「告訴の件ですが…」と切り出した。「何とか告訴はしないで頂きたいのです。お怒りはごもっともですが、それが依頼人のお願いです」

その話を聞いたテスは我慢できない様に声を上げた。「あなたね!先ずはその依頼人なりが直接来て謝罪するべきじゃないの?」と声を上げた。ボスは手を上げてテスを抑えた。

弁護士は低身平頭で「申し訳ございません。ただ、告訴さえしないで頂いたら、どんな要求も受けさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします」と言って帰ったのだった。

テスは時計を見て「それでは僕はそろそろ行きますね。お店は心配入りませんよ」と言って出て行った。ボスは「悪いな、頼むよ」と言って手を振った。そして目をつぶって考えに入った。

(もうすでに韓国ではこの事件が知れ渡っているらしい…俺がここでゴネたら相手には打撃だけど、事を大きくするとハヌルさんが巻き込まれるな。彼女に対する嫌がらせの黒幕もあいつらしい…ならば…)

その時、静かに病室の扉が開いてハヌルが入って来た。心配気でありながら、申し訳ない思いが複雑に絡んだ何とも言えない表情だった。何気なく顔を入口に向けたオギがビックリして「あ、ハヌルオンニ!」と声をかけた。ボスは(えっ!)と言う表情で入口に立つハヌルを見た。

ハヌルはボスの顔を見るなり駆け寄ってボスの手を握りその場で泣き崩れた。「ボス氏、미안해요 …」その後は長い嗚咽が続いた。「どうして…(来たの?大変なのに)」ボスはその後の言葉が出なかった。そしてハヌルともう1人後ろに立つパジチョゴリ姿の白髪の老人に目が行った。

口元にも立派な髭をたくわえている。ボスを見る鋭い眼光はただの老人ではない事を察知できた。背は高くないが精悍なオーラが出ている。オギもその老人の放つ威圧に押される様に言葉を失っていた。

ひとしきり泣いたハヌルは気を取り直してもう一度謝罪した。そして後ろに立つ老人を紹介した。「ボス氏、この方はプサングループの会長さんです」
「!?」

続く

スポンサーリンク

1 COMMENT

チョロは元気かな?

あのハヌルに手をつないでもらって、泣いていただけるなら~ケガしてもいいや~👀なんっちゃって~😆
オギも、「ハヌル おんに~💕」だって~👀 早く「おんま~😘」と呼びたいよね
んで? 日本までわざわざパジチョゴリの会長~😁 空港では目立ったろうね~👀
んで? んで? それから? それから?

現在コメントは受け付けておりません。