春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 47

その手紙は韓国の6歳の子供からの手紙だった。…僕は金 ハヌルさんが大好きです。今日テレビを見たらハヌルヌナが苦しんでいる姿が写ってました。それはあなたとの関係で人に意地悪されたからと言ってました。ハヌルヌナがとても可哀想です。ハヌルヌナを悲しませないで下さい…

ボスは胸が痛んだ。(そうか、ハヌルさんにはこんな小さなファンもいるんだ。俺のせいでこの小さな胸を痛めてたんだ)改めてハヌルの人気の高さを実感した。

ある日の夜…
「ギィ」ドアが開いてひとりの男性が入って来た。見覚えのある白髪と口元の立派な髭、彼が発する独特なオーラは人を圧倒する。プサングループの総帥、プサンホだった。びっくりしたボスは驚いたが「いらっしゃいませ」と頭を下げた。サンホは笑いながら席に座り、店の中を見回した。

そして「ボス君、この間は本当に申し訳なかった。そして告訴をしないでくれてありがとう」と頭を下げた。ボスは「いえ約束したので…」と静かに話した。「ボス君の人間性が良く表れたいい店だね」と笑いながら言った。そして「ドライマティーニを」とカクテルを注文した。「かしこまりました」とボスはカクテルグラスを取り出した。

ジップ・スミス・ドライジン3/4にドライベルモット1/3をシェーカーに入れステア(シェーカーを振る)してグラスに注ぎオリーブを飾る。ここでボスはちょっとした事をする。ライム一欠片を握って、グラスの近くで手を回しながら絞った。辺りにはライムの爽やかな香りがほのかに香る。客はその香りの中、柑橘系の強いマティーニをより楽しめる…

サンホはそう言う細やかなサービスを何気なくするボスをより一層気に入った。(彼なら解ってくれるはずだ…)

店の客も引いて閉店時間が迫って来た。テスはいそいそと店を片付けて「お疲れ様でした」と言って出て行った。何か話があると感じて気を効かしたのだった。

サンホは「ボス君、ちょっと座らんか」と隣の席を指差した。「はい」と言うとサンホの隣に座った。サンホは懐から封筒を取り出した。そして「これが約束の誓約書だよ。これから一切ハヌルには関わらないと書いてある。もう1通は弁護士に渡してある。破った場合は法的に対応すると言ってあるから心配はいらないよ」と、淡々と話した。「でもね、娘が許してあげて、と哀願して来て…どうしても縁を切る事は出来なかった。許してほしい…」と頭を下げた。

ボスは「いえ、大丈夫です。私としてはこれ以上ハヌルさんが悲しい思いをしなければと思うだけなので」と言った。

サンホはボスの顔を見ながらもう一つのお願いを言うタイミングを探していた。

続く

1 COMMENT

オリーブ

6歳からの手紙は、心痛むね~😞 でも、好きになることは自由なんだよぉ~ぼく!
ドライマティーニの作り方まで、ご丁寧に👏 良く飲みます~
そのサンホの、もう一つの「お願い」って何だろう???
んで? んで? それから? それから?

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