春のうららかさを感じよう

介護のジカン―姑編⑫

姑の部屋には花瓶がたくさんある。もともと高尚な趣味の持ち主で、気に入った古美術なんか値段に関係なく購入してしまう。民芸家具なんか借金してまで買う人だったらしい。今の小さな部屋にはそんな家具は全くないが、置物だけはそこら中に飾ってある。

ある日、ヘルパーさんが部屋に飾ってある花瓶を褒めた。
ヘルパー:金さんの家にはステキな花瓶がいっぱいあるのね
姑:(ニコニコ)そうなのよ~
ヘルパーさんが珍しい置物を発見。木彫りの小さなバケツのような形の置物である。年代物のとても貴重な花瓶。

ヘルパー:金さん、これは何?
姑:これはね… これは…帽子
ヘルパー:へぇ~ 珍しい帽子ね
そういってヘルパーが置物を頭に乗せた。
ヘルパー:でも、この帽子、すぐ落ちちゃうね
姑:(ニコニコ)違うわよ。こうかぶるの
そう言って姑はその置物を逆にして自分の頭に乗せた。

ちょうどその時、私がドアを開けた。「ハンメ~、もうすぐお昼だけど、何食べたい?」
部屋に入ると、姑とヘルパーさんが代わるがわる花瓶を頭にかぶっている。その様子がめちゃくちゃおかしくて爆笑。
私:〇〇さん、何してるの?
ヘルパー:金さんが帽子だって言うからかぶってたのよ
私:(大笑いしながら)〇〇さん、これ、帽子じゃなくて花瓶だよ
ヘルパー:えーー? どうりで…私もおかしいと思ったのよ。だってすぐ落ちちゃうしさ、こんな重い帽子なんかかぶってたら肩が凝って大変よね。これをかぶって歩くなんて、韓国の人ってなんて器用なのかしらって思っちゃった。金さんたら、イヤだ~。私をからかったのね。

2人で大爆笑。それを見て姑も笑っている。姑はとっさに帽子だと言ったのだろう。からかうつもりなどないに決まっている。でも姑のおかげで、とても楽しいひと時を過ごせた。介護で笑えるなんてス・テ・キ