春のうららかさを感じよう

介護のジカン―姑編⑤

義姉が姑の家に泊まりにきた。私と夫を休ませるために。
義姉:お嫁さん、オモニを見てくれてありがとうね。今日は私が見るから、ゆっくり休んで
私:ありがとうございます
義姉:オモニの食事だけど…
私:うちで一緒に食べましょう
義姉:そう? じゃあお言葉に甘えちゃおうかな♪ お嫁さんの料理おいしいから食べたかったのよ
私:ありがとうございます
おいおい、それが目的だったのかい

ピンポーン!
夕食を準備していると、義姉が姑を連れてやってきた
義姉:忙しいのにごめんなさい。やることがないから早めに来ちゃった
私:大丈夫です。もう少し時間かかるのでテレビでも観て待っててください
義姉:そうさせてもらうわ
そう言って義姉は姑そっちのけでさっさとテレビに向かう。

姑は取り込んだ洗濯物をたたみ始める。習慣は記憶を失っても手が覚えているようだ。洗濯物のシワを伸ばしながら丁寧にたたんでくれる。うちでのこの作業は姑の一種の仕事になっている。ひとつのことを延々と続けるのも認知症の特徴らしい。

夕食時、姑のプレートに料理を載せ、みんなで食べ始める。姑のプレートは既に空になっている。ん? これは以前にどこかで見た光景… 父の姿と重なる。まるでデジャブのようだ。すると、このあとは… 

姑が「ご飯がない! 私、食べてない!」と怒りだした。予想どおりの展開。義姉が姑を叱る。
義姉:オモニ、今食べたじゃない!いやしいわね!
姑:食べてないよ。ご飯もくれないのか! 私にばかり意地悪しやがって
義姉:オモニ、お嫁さんの前でみっともない!恥ずかしいと思わないの?
夫:姉ちゃん、その変にしとけよ。オモニは分からないんだから
義姉:何でこんな姿になっちゃったのよ。情けない

身内は親の認知症を受け入れられないというが、どうやら義姉は今の母親の姿を受け入れられなくて否定してしまうようだ。私も姉もそうだったもんな~。でも姑には冷静でいられる。やはり嫁は他人なのかもね。

ひと騒動を終えて部屋に帰る姑と義姉。だがその後、とんでもない事件が起きることに。