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クリスタル・ケイの母シンシア、実母の言葉「あなたを産まなかったことにします」

在日三世として東京に生まれ、人気シンガー、クリスタル・ケイ(37)を女手ひとつで育てたシンシア(60)。トニーとのつらい別れを経て、横須賀基地で働く海軍のフィルと出会う。


まさかの告白

「『実は向こうに婚約者がいるんだ』とフィルに告白されたのは、付き合い始めて3か月後のある夜のことでした。聞けば、学生時代から付き合っているガールフレンドで、フィルの横須賀勤務が終わり、アメリカに帰ったら結婚しよう、という約束になっているということです。

『じゃあ私たちはこれで終わりにしよう』とフィルに告げると、『僕は君のことが好きだから、彼女と別れて君と結婚したい』と言い出しました。

軍は年に一度45日間の有休が与えられ、フィルはその休暇を使って近々里帰りすることになっていました。彼女とは婚約の証しにハイスクールリングを交換していて、今度の帰郷でそれを返してもらうつもりだと、「だから信じて待っていてくれ」と言います。けれどティーンエイジャーからの付き合いで、彼女のほうはフィルの帰国を心待ちにしているはず。そんな簡単には済まないだろう、きっと別れられないだろう、と思っていました」

予想外に約束を守ったフィル「Will you marry me?」

45日後、フィルがアメリカでの休暇を終え帰国。シンシアの予想とは裏腹に、フィルは約束を守った。妊娠したことがわかりパニックになってしまった

「『彼女ときちんと別れてきた』と言って、ハイスクールリングを私に見せてくれました。そしておもむろにひざまずき、胸元からリングケースを取り出した。パカリとケースを開けると、婚約指輪と結婚指輪が2つセットで並んでいます。

『Will you marry me?』と、フィル。アメリカ映画でよく見かける、まさにあのシーンです。人生二度目のプロポーズでした。

まずは親に結婚を認めてもらおうと、フィルを連れて日吉の実家へ行きました。すると母に『あんたのことは産まなかったと思うことにします』と言われてしまった。父は母の横でじっと黙ったままうつむいていました。

2人とも私が黒人と結婚するのがイヤだったようです。朝鮮人ということでずっと差別されてきたのに、今度は自分たちが黒人を差別するのか。差別ってそういうものなんだと思った。それでも親に結婚を認めてほしくて、何度も何度も実家に通いました。でも結局受け入れてはもらえませんでした」

フィルとの新生活を始めるも、ちらつく元婚約者トニー

フィルと結婚するにはまず軍に書類を提出する必要がある。皮肉にもトニーとの結婚のために入手した韓国籍がそこで役立った。

「軍が書類にひと通り目を通し、結婚が認可されるまで半年ほどかかるという。とりあえず一緒に暮らそうということになり、横須賀のアパートを引き払い、横浜・中村橋でフィルと新生活を始めた。

お腹に赤ちゃんがいることがわかったのは、中村橋に越してすぐのころでした。早く結婚して、子どもをたくさん産むのが私の幼いときからの夢でした。けれど妊娠したと知り、パニックになってしまった。フィルの子どもを身ごもった。これでもうトニーとは会えないかもしれない。これで本当にトニーとは終わりになってしまうかもしれない─。

フィルは長期の遠征に出ていて、日本に戻るのは数か月先の予定でした。

トニーと連絡を取るなら今しかない。とにかく家中を探し回り、そこで一冊のノートを見つけたんです」(次回に続く)

週刊女性2023年5月23日号

1 COMMENT

바람둥이

トニーとの仲むつまじい写真はのっているのに、フィルの顔はまだ分からない。この後の展開が読めてきた感じはするけれど憶断はひかえます。しかし現時点で気もちは充分にフィルとトニーとの양다리(ふたまた)ですナ。

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