春のうららかさを感じよう

安堅「夢遊桃源図」

朝鮮王朝世宗大王の三男、安平大君が夢で見た武陵桃源を絵にした「夢遊桃源図」だ。1447年4月に安堅が書いた横106.5cmの大作で、当時の作品がほとんど残っていない朝鮮初期の絵画の水準が推測できる、国宝級の作品である。

安堅「夢遊桃源図」デジタル複製品

世宗の息子、安平大君が夢で見た桃源の話をもとに、安堅が3日で完成させたと伝えられる。安平大君の死去後、親戚によって秘蔵されてきたが、1893年以前に日本に搬出されたと思われる。

「夢遊桃源図」が初めて公ににされたのは、1929年日本で発行された「東洋美術」の論文によってである。その後、1930年朝鮮総督府発行の雑誌「朝鮮」でも短く紹介されたことがある。当時は「夢遊桃源図」の存在自体を知る者が少なかった。

深い霧で遠くかすかに見える絶壁と、鮮やかな桃畑が対比をなす安堅のこの作品は、朝鮮山水画有数の傑作だが、韓国ではなかなか拝むことができない。天理大学が所蔵している日本の重要文化財だからだ。

そのため2009年の「夢遊桃源図」のソウル展示は大混雑となり、4時間も並んでたった1分間しか作品の観賞ができない場面も見受けられた。

韓国でも滅多に見られない「夢遊桃源図」を、ようやく時間の制限なくゆっくりと鑑賞できるようになった。カギはデジタルだ。日本の天理大学にある実物のデジタル複製品を提供してもらい展示している。安堅の「夢遊桃源図」デジタル複製品は高麗大学博物館に展示されている。