1本の樹にもー新米教師奮闘記㊵

切実な訴えだった。ヒョングもチョンファも目に涙をためている。ミョンジャの母親の頬にも涙が流れていた。部屋に再び沈黙が漂う。

空気を変えたのはチョンファだった。「私は3年前にアボジをなくしました。まだ高校生だったので、ほんまに悩みましたわ。オモニ1人で働いて3人の子供を学校に行かせるなんて無理やし、高校を辞めようと思ったんです。でもね、オモニが言ってくれはったんです。『お前が高校を辞めたらオモニはあの世でアボジに合わせる顔がない。お前はそれでええかもしれんけど、オモニは一生お前に借金を背負うことになる。どんなことをしてでも学校を続けさせたる』って。結局、私は奨学金をもらって大学まで進みましたが、高校の生活は今まで生きてきた中で一番楽しくて大切な時間だったと思えるんです」チョンファは目にいっぱいの涙をためながらも淡々と話した。

「アボジ、3年間だけ何とかできないでしょうか?このままじゃミョンジャだけではなくアボジにも一生消えない後悔が残るんじゃないんですか?」ヒョングが再び訴えると、それまで閉じたままだったアボジの口が開いた。

「後悔か…」「そうです。今ならまだ間に合います!」ミョンジャの父親が天井を見上げる。「3年間だけやで」つぶやくような父親の言葉にミョンジャの顔に笑みが溢れた。「アボジ、ありがとう」そう言いながらミョンジャは父親に抱きついた。「アボジ、コマプスムニダ! コマプスムニダ!」。ヒョングは立ち上がって何度も礼をした。

「まさか、うちまで来るとは思わへんかった。朝、ソンセンニムの顔を見た時からこの結果は覚悟してたわ」と言いながらアボジが笑った。そして「ソンセンニム、よろしくお願いしますよ」と深々と頭を下げた。

1 COMMENT

良かったね。
선생님も명자も頑張った甲斐が有ったね。
電車を待つホームでうかつにも又ぽろり…

現在コメントは受け付けておりません。