「ハングルへの旅」 茨木のり子

茨木のり子さんは、1926年大阪生まれ、2006年79才で亡くなるまで詩はもちろん童話やエッセイ、脚本など多くの作品を発表された、戦後の日本を代表する詩人です。

50代でハングルを学び始め、10年後ぐらいにこの本を出版され、ハングルを学ぶ中で出会った人々や食べ物や文化について、思いを綴ったエッセイです。アジアへの侵略の歴史に対する反省とともに、隣国への畏敬の念が綴られ、詩人ならではの日本と朝鮮文化、言語の比較考察がとても面白いです⤴️⤴️。

引用すると……「諺(ことわざ)という言葉はなくて俗談(ソクタム)である。表現のユーモアにすっかりいかれてしまう…日常会話にもポンポン出てくる…

  • はじまりが半分だ(시작이 반이다)
    始めようと意志した時は、既に半分がたは達成したようなものだ。こういう大らかさは気持ちを随分と楽にしてくれる。
  • 良い話もいつも聞くと嫌だ(좋은 이야기도 늘들으면 싫다)
    いかにもそうだ。
  • 風の吹くまま波打つままに(바람부는대로 물결치는대로)
    日本では「風の吹くまま気の向くまま」だが波打つままもいい……」等々。

私は韓国行ったことはなく、普段の日常は日本語を話し(不思議と9×9だけは頭の中で우리말です…😂 )日本の文化に身をおいて生活するけど、でも心は조선사람……。両方の文化について、うんうんそうだなと共感すると同時に、大変勉強になった本です。

いまだにコロナウイルスに自由を奪われこそすれ、これを前向きに捉え、隙間の時間に読書はいかがですか。1日でも早く自由に会える日を願って……。

5 COMMENTS

ソーシャルディスタンス

「ハングルへの旅」。こんな俗談もありましたね。
人と山は遠くで見るにかぎる(사람과 산은 멀리서 보는게 낫다)。
近づきすぎるとお互いに、欠点が見えすぎるから少し距離を置く。この歳になり実践しています。

ポチッとしました

面白そうですね。
素敵なイラストにもそそられて…(笑)
注文完了しました。

やさしい人柄

書籍の紹介はもとより、投稿者さんの文章力が素晴らしいと思いました。読みながら、やさしい人柄と穏やかさが伝わってきましたよ。一読してみますね。

わたしが一番・・・だったとき

茨木のり子とくれば,この詩を逸することはできません.日本の教科書にも載っています.
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わたしが一番きれいだったとき

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように ね

図書館で借りて…

韓国語を習いたいという動機から始まった著者が、古代朝鮮語と日本の方言などを比較し、言葉の共通語から韓国人と日本人の考え方や情緒の違いなどを広範囲にわたって著していることに驚きましたし感銘を受けました。こういう考え方は在日の私たちにも共通してて、たいへん興味深く読みました。著者の興味は言葉だけにとどまらず、韓国の自然や花、人々の暮らしや気性まで及び、その考察力にも感嘆しました。後半には崔承姫や尹東柱など植民地時代に著者が感銘を受けた人たちも出てきますね。投稿者が読んでほしい推薦本としてブログに投稿した理由がわかりますね。

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