末は大物?⑤

マー坊はとにかく鉄道が大好きなので、私は秋葉原の鉄道博物館によく彼を連れていった。ある夏、鉄道博物館では本物の電車の運転席でシュミレーターを見ながら運転できるイベントがあった。

会場に到着すると既に大勢の鉄道少年たちが長い列をなしている。マー坊のように目をキラキラ輝かせながら。これだけ待っても乗るのは一瞬なのに、何が面白いのか私にはさっぱり分からない世界である。

マー坊の順番は当分来ない。だが、マー坊は待つのが苦ではないようだ。実物の運転席に乗れるうれしさで胸がいっぱいなのである。

数時間してマー坊の順番が来た。実物の運転席に乗って車掌帽をかぶる。普通ならここで画面に従って操作するのだが、マー坊はおもむろにマイクを握る。そして鼻にかかったような、車内アナウンス特有の声で話し始めた。

「ドアが閉まります。ご注意ください。プッシュー(ドア音)」あ~あ、他人のふりをしたい。