春のうららかさを感じよう

지영이는 보았다(第4弾)その1

スマホ画面の向こう側で김がいきなり、박지영と呼びかけながら語りかけてきた時のショックからチヨンは立ち直れていない。自分も覗かれていたと思うと、今でも戦慄が走る。おまけに画面内の김に多くを語りかけた事が思い出され、恥ずかしくて身の置場がない位だ。

情報院肝入りの高性能監視ソフトを見破り、逆利用までできる김とは何者なのか?総聯系のいちおっさんなんかではなく、高度に訓練された北のエージェントなのか?酒席でのはしゃぎっぷりとその愉快さを思い起こすと(北の在日エージェント恐るべし!)と妙に感心してしまう。いやっ、そんな場合じゃない。

김は監視ソフトの逆利用をこちらが気づいてないのにあえて喋った。(안전하고 행복하면…)の意味は突き詰めると(위험하다)と警告してると解釈できる。担当上司の件での審問会もかなりヤバイのに、向こう側からも何らかのアクションがあるのかと思うと焦燥感で押し潰されそうだ。この危機的状況から脱しなければ私は終ってしまう。

チヨンは元分析官としての頭の引き出しを掻き回しながら、状況打開の方法を探そうとあがく。まずは間もなく始まる審問会をどう乗り切るかだ。
(위험을 알려준 김오빠가 해코지 할리 없다. 마쯔야마쪽의 감시소프트도 틀켰을까?그러나 이 문젠 내가 발설안하면 모를테니까 나중에…)

佐藤昇のことはどうなんだろう?よくよく考えてみると松山から振ってきた話と言うよりも、覗き見で自分が過剰反応してしまったきらいがある。幸いにもバカ上司が突っ走ったから、途中経過報告をしただけだと言い訳できるし、そう押し通すしかない。

でも、それでは済まされないだろうとチヨンも予感する。あたって砕けろで臨んでも審問会で何らかのペナルティーは課されるに違いない。そこがチヨンにとっての核心だ。配置換えもありうるし、国に召喚される事も十分考えられる。そうなると工作員としては万事休すだ。

(앗, 그래 이거야! 유미선배님한테 다 털어놓고 조언을 듣자. 김오빠 일은 함구하고)これぞ名案とばかりにチヨンはユミに電話した。

「그래 내일 우에노에서 일이 있으니 그 김에 만나자」とユミは言ってくれた。電話を終えたあとチヨンは、ユミと再会したあの日に김성남と初めて会ったんだなと思い出す。遥か昔のことのように感じて、切ない気分になる。明日は土曜日だし……

          続く