春のうららかさを感じよう

지영이는 보았다(第4弾)その6

チヨンに対するあの男の尾行が始まった。男は、まずチヨンの行動パターンと動線を掴もうと가게の閉店後にチヨンの後を追った。浅草に住んでいることは既に分かっているが、住居の正確な場所と部屋番号まで突き止めるためだ。

明くる朝、重い瞼をこすりながら男はその前で待機した。昼過ぎになってようやくチヨンはノーメイクで防寒仕様のトレーニングウェアの装いで出てきた。そのままタクシーを拾ったので男は慌てる。運良くすぐに空車のタクシーをつかまえて乗り込んだ後、運転手に指図通り走ってと言った。

チヨンのタクシーは日暮里駅前のラングウッドホテルの前で停車する。あの男の乗ったタクシーもホテルの50メートル手前で止まった。チヨンはホテルに併設されているスポーツジムの中へ消えていった。男はまた待つのかとイライラする。朝食もろくにとってないし、外は寒いし。ラングウッドのレストランでランチしながら待とうと決め食事にありついた。

2時間ぐらい粘ったが、ランチタイムが終わったからと言われ外に出された。やっぱり外は寒い。チヨンが出てきたのはジムに入って3時間が過ぎてからだった。ノーメイクのままなので帰るんだろうと想い、男は一旦撤収した。男の視野にある間チヨンは一度もスマホを使用しなかった。

次は가게へ出勤する時間から逆算してまた住居の前に来てみよう。それから明日にでも김재광を訪ね、コピースマホの使用がないことについての見解を聞こうと決めた…

その日、재광は事務所奥部屋のパソコンの前に座っていた。東京朝高同期の同窓会開催が決まって、その成功の一助にとブログを開設することになったから。卒業後初めて開催する会だけに彼は気合い十分だ。後で영주も来るからその前に大まかな方向性を決めておこうと他のブログの検索に余念がない。

そこにあの男が突然現れたので재광は驚き、仕事を中断させられキレそうになった。男はコピースマホを재광に渡し、ちょっと調べろと命令調で言った。재광はパソコンから架空の番号発信でチヨンに電話をかける。

〈電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為かかりません〉の音声ガイダンス。電源ONになってないと伝えたが、男は預けるから何か分かったら知らせろと言い残し帰っていった… …

          続く