サッカー部は大きな決断をした。今年のウリハッキョの選手権には参加せず、対外試合である東京選抜との「朝日親善試合」に照準を合わせる事にしたのだった。
選手権の不参加は寂しいがそれよりも同胞達の期待と声援、在校生やOB、OG達の要求も大きな理由のひとつだ。だが内部的には過去2回の連続敗戦は彼らには大きな負の遺産で、今年こそはリベンジをしたいという希望が大きかった。
「打倒!東京選抜」これが今年のサッカー部のスローガンだった。
決戦の日は9/3、場所は西が丘競技場と決まった。皆が驚きの声をあげたのは、メンバー表を見た時だった。「な、何だ〜?ほとんどが帝京じゃねぇか!」当時の帝京は高校生でありながら、全日本メンバーに選出されたフォワードの高橋を始め、高校生の日本代表が4人もいる銀河系軍団だった。
それでも 朝高イレブンは 臆するどころか、かえって喜びすらした。「上等だ!天下の朝高なめんなよ!」と闘志に溢れていた。
試合は開始早々から東京選抜のペースで進行して行った。スーパー高校生を擁するチームである。下馬表でも東京選抜が有利と言われている。
我が12班のメンバーであるY男も、スターティングメンバーに入りピッチを走り回っていたが、相手のボールコントロールの良さに中々反撃のきっかけを掴めなかった。
試合開始後10分位してか、相手の決定的なチャンスが来た。フリーでボールを受けた高橋が持ち込みペナルティエリアに入ろうとしたその瞬間、Y男は朝高直伝の殺人スライディングを足元に食らわした。
「ズザーッ!」
もんどり打って倒れるスーパー高校生。
しかしボール目掛けてのプレーなのでホイッスルは鳴らない。ブレーは続行された。その瞬間観客席からは「좋다ー!」「죽이라ー!」と言う歓声が上がった。
ビビったのは選抜チームだった。殺人スライディング…緻密に計算された伝統の武器だった。試合の潮目が変わった。ボールを支配した朝高イレブンは怒涛の攻撃を仕掛けた。
そしてゴール前に持ち込んだエースのCがゴール隅に先制のシュートを叩き込んだ。
「ピピーッ!」
空をつん裂くような歓声が西が丘の空に響いた。朝高イレブンがCに駆け寄る。ゲームが再開される。
萎縮してた東京選抜チームは目を覚ました様に動き出した。
しかし流れは朝高側にある。サイドバックのオーバーラップからセンターリングが上がった。相手のディフェンスがクリアする。だが中途半端だ。ボールがCに向かって来た。Cは胸でトラップしてミドルシュートを放つ。相手のキーパーがスーパーセーブ。ボールはラインを割った。コーナーキック。
朝高はショートコーナーを選んだ。ボールはY男に渡った。彼は得意のドリブルで敵の真っ只中へ突っ込んで行く。相手はY男に群がる様に当たって来る。しかしボールは奪われない。驚異的なボールコントロールでボールを支配したY男は混戦の中でも周りを見回した。
そしてフリーになってるエースのCに絶妙のパスを出した。狙いすまされてCが放ったボールは、低い弾道でゴールに突き刺さった!
「ピピーッ」
前半戦が終わった。
思った以上の前半戦の出来だった。ゲームは前半戦が終わり後半戦へ突入する。落ち着きを取り戻した東京選抜は徐々に実力を発揮して来た。朝高の殺人スライディングも上手く避けられる。
そんな中、後半戦の中盤にクリアミスから相手に得点を許してしまう。
2-1…
(ヤバイ、後がないぞ。)
しかし ゲームの流れは 東京選抜側にある。東京選抜は何度も朝高ゴールに襲いかかる。必死のディフェンスが続く。朝高イレブンは心身ともに疲れ、動きも散漫になって来る。このままではいつゴールを破られてもおかしくなかった。
その時、スタンドから声援と共に、静かにそして力強く、校歌が響いて来た。
「♬백두산 줄기찬힘 제주도 남쪽까지♬」
西が丘の競技場に東京朝高の校歌が鳴り響く…その声は朝高イレブンの胸に深く響いた。「朝高魂忘れるな〜!」「諦めるな〜」「힘내라〜!」「죽이라〜!」声を枯らして声援を送る同胞や学生達の願いを胸にイレブンは体を張ってゴールを死守した。
そして、遂にその時が来た。
「ピピーッ!」試合終了を、東京朝高の勝利を宣言するホイッスルが、高らかに鳴り響く。
「ヨッシャー!」朝高イレブンは高く腕を突き上げ雄叫びを上げた。スタンドは歓喜が渦巻いた。お互いの健闘を讃えて握手を交わしたイレブンは、応援してくれたスタンドの観客の前に胸を張って立った。同胞そして学生の頬に熱いものが流れた。黄昏の中、東京朝高の校歌が静かに響いた…
ゴールを守ったキーパーのSはこの時の事を未だに覚えている。試合が終盤に差し掛かり東京選抜の敗戦が濃厚になって来た時、ひとりのおじさんがラジオを聴きながら興奮して叫んだ。「やったー!王貞治ホームラン世界一〜!」
…
いずれにしてもこの日は歴史的な1日になった。王貞治が「世界の王」になった日が東京朝高が「幻の日本一」になった日だと。因みにこの年の帝京高校は正月に開催される「全国高等学校サッカー選手権大会」に於いて、決勝戦で四日市中央高校を5ー0で破って優勝している。
その帝京を主体とする選抜に勝利したと言う事でサッカー専門誌「イレブン」にも『幻の日本一』と大きく紹介された。スタンドで応援するボンタン姿と共に…
王貞治ホームラン世界一〜
そんなおじさんがいたような…
今では、勝ちたい、勝てるか❗
今の人達は時代が違う事と
思います‼️けど
当時は負けるする事は無い
同期生のサッカー選手の気迫が
違いました✨~👍️
勉強しました☺️~👍️
サッカーしました☺️
とても個性が有りました、
ライバル、東京選抜の選手、
凄かった❗😆👍️✨
でも同期生のサッカー選手は
これ以上凄かった❗😆👍️✨
席から応援していましたけど
感動、感激、貰いました‼️
有り難う🎵、😆👍️✨