9月に咲く花のように

3年12班の愉快な面々 37

「出発!」
先生の号令のもと全員は最後の行程に入った。「長蔵小屋」から「三平峠」までは最後のキツイ登りだ。学生達は最後の力を出して登山道を登って行く。

NMは「M道〜荷物持ってよ〜」とM道に言うと、彼は「ん」と言って手を差し出した。「ありがとう」NMは荷物を手渡した。

M道は笑いながら「さぁ、皆さ〜ん!最後だから頑張って行きましょう〜」と声を上げた。それでも6時間を超える行軍をして来た学生達だ。最後の登りが非常にキツイ。しばらく登って行くと「登りはここで終わりだぞ〜!あと一息だ〜頑張れ〜!」と上の方から聞こえて来た。

「あそこで終わりだってさ!」その声を聞いたみんなは俄然、力が湧いて来た。人間、目標が見えると不思議と力が湧いて来る。「やったー!到着ー!」

最後の登り「三平峠」を何とか登り切った学生達はゴールの「大清水」目指して最後の下りに入る。

「ねぇ、M道さ〜、いくら付き合ってるからってさ〜 NMの荷物だけ持つのっておかしいでしょ?」「何が言いたいんだよ」「私達のも持ってよ」と◯スンが言った。「いいじゃん、持ってあげなよ」とNMも言う。「いいよー別に…」とM道は快く荷物を受け取って最後の坂を下って行く。思ったよりいい奴だ。

しばらく下ると下の方に舗装された道路が見えて来た。「やったー!ゴールだぞー!」いくつかの荷物を抱えたままM道は軽く走り出した。

「M道〜危ないよ〜!」とNMは慌てて声をかけた。

道の真ん中は水が流れ轍(わだち)が出来てて歩きづらい。登りより下りの方が疲れるのは知られているが、下りの疲れは息が上がらない分、解りづらいのが厄介だ。その上M道は革靴だ。前日の雨にぬかるんだ道はまだ乾いていない。

思いがけずスピードを出し過ぎたM道の目に、前を歩く女子達の姿が迫って来る。無理に止まろうとしたら滑って転びそうだ。(ヤバイ、ぶつかる!)M道はとっさに脇の雑木林に頭から突っ込んだ!

「M道ー!」NMを始め皆が声を上げて駆け寄った。「大丈夫?M道!」と真っ先にNMが駆け寄った。M道は笑いながら体を起こして「ハハハ、ぶつかると思ったら横に飛んでたよ。あの子達は大丈夫かな?」とかえって女子を心配する。「バカ!」NMはホッとして汚れた服をはたいた。皆は安堵のため息をついた。

帰りのバスの中。
「M道、大丈夫なのか?どこか痛くないか?」と先生が聞くと「大丈夫ですよ!心配ないです」と明るく答えた。数々の思い出を胸に、高3最後の行事は終わった。


その日の夜、あまりの痛さに救急で病院を訪ねたM道は、医師から結果を聞いて呆然とした。「あー、鎖骨が折れてますね〜これは手術が必要だな〜」「え、手術?入院?え?え?」(やばいぞ、無欠席運動が…)

最後の学校行事を終えた3年12班の面々に新たな問題…そして学年的には進路問題が改めてクローズアップされます。彼、彼女達の進路はどうなるのか?SスはW大に受かるのか?…

さて、いよいよ佳境に入ります。

1 COMMENT

🍁

尾瀬は最高にたのしかったけど、たしか、富士スバルランドにスケートいったよね?高3で。にしても紅葉綺麗だったね🍁

返信する

コメントを残す