【健康】“朝、起きられない！”原因と対処法を考える

夏が終わって過ごしやすい季節なのに、目覚ましが鳴ってもなかなか起きられない、起きても疲れがとれずスッキリしない。眠くて起きられないのは春と思いがちだが、日照時間が短くなる秋には睡眠を促すセロトニンが不足し、睡眠のリズムが乱れ、目覚めに関する悩みを抱えることもある。セロトニン不足以外にもすっきりした目覚めを妨げる原因はさまざま。原因に合わせた改善法を検討しよう。

「うまく起きられない」のはなぜか？ほとんどが季節や生活習慣などによるものだという。

①睡眠時間が不足している

まず考えられるのが、睡眠時間の不足だ。成人の場合は6時間以上を目安として睡眠時間を確保することが望ましいが、20〜59歳の各世代では睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50％を占めるなど、睡眠時間不足の人の多さがわかる。

こうした睡眠時間の不足は一般的に目覚めの悪さや、朝起きたときに体が休まったと感じる「睡眠休養感」の低さにつながりやすく、日中に過度の眠気を感じたり、めまいや立ちくらみを起こしたりする場合もある。

睡眠不足を補うため休日に長めに眠ってもメリットは極めて限定的となっているので、睡眠不足の解消には6時間以上を目安に、毎日の睡眠時間を確保することが大切といえる。

②季節や生活の変化で体内時計がズレる

私たちの体はほぼ1日周期で体内環境を変化させる機能を備えているが、そのリズムを適切に維持するはずの体内時計がズレることがある。主な原因は、季節による日照時間や気温の変化についていけない、夜更かしや徹夜を繰り返して生活リズムが乱れた、など。

こうした体内時計のズレが、うまく寝られない・起きられない原因になり、日中の眠気や体調不良にもつながるのだ。この場合、体内時計をうまくリセットすれば目覚めの悩み解消に役立つ。

◇体内時計をリセットする

朝、日光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整い、すっきり起きることができる
日中に光を多く浴びると、夜間に睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌量が増え、体内時計のメリハリが強くなりスムーズに眠りに入り、朝の目覚めも良くなる
就寝前に光を浴びるとメラトニンの分泌が遅れて眠りにつきにくく、寝ている間の光でも睡眠の質が低下するため、寝室の照明はできるだけ暗くし、スマートフォンやタブレット端末を持ち込まない

③ストレスが影響している

体内時計によって、夕方から夜にかけては体をリラックスさせる副交感神経の働きが優位になり、全身が眠る準備を始める。しかし、過度な緊張など日中にストレスを感じる状態が続くと、体を緊張・興奮させる交感神経の働きが優位なまま夜を迎え、夜中に何度も目が覚めたり、眠りが浅くなったりして、朝の目覚めが悪くなることも考えられる。

このようなときは、ストレスをなるべく感じない生活に改善することが大切だ。また、眠る前の1時間ほどをリラックスタイムとして、あまり物事を考えずにぼんやりと過ごすのもいいでしょう。

④就寝中に呼吸が止まっている

睡眠中に呼吸が一時的に止まったり弱くなったりすると深く眠れず、朝の目覚めが悪くなる。疲労感が解消されず、日中に強い眠気に襲われることもある。こうした症状は睡眠時無呼吸症候群（SAS）の可能性も考えられる。

睡眠時無呼吸症候群の原因で多いのは睡眠中に喉が閉じてしまう閉塞型で、肥満などで起きやすくなるとされている。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下し、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすくなるため、早期の対処が望まれる。上記のような症状があれば、医療機関を受診して相談してみよう。

⑤自律神経の不調

朝起きられないことに加え、頭痛、腹痛、めまい、立ちくらみ、吐き気などが重なる場合は、自律神経の不調による起立性調節障害も考えられる。これは自律神経がうまく働かず、立ち上がるときに体や脳への血流が低下するため起きられなくなり、前述のような症状が現れる病気だ。成人してからも起こり得る病気なので、思い当たる症状があれば医療機関に相談してくれ。

⑥眠りすぎる病気もある

このほかにも眠りすぎる病気として、体内時計のズレが修正できずに起こる概日がいじつリズム睡眠障害、中枢神経系の機能異常が原因とされるナルコレプシー、特発性過眠症、クライネ－レビン症候群（反復性過眠症・周期性傾眠症）などがある。こうした病気もしっかりした診断・治療を受ける必要があるため、医療機関の受診を考えよう。