同窓会の準備を始めよう

【健康】腫瘍マーカー検査は“要注意”

人間ドックや健康診断に行くと「がんを早期発見するため」として、さまざまなオプションの検査が用意されている。その一つが「腫瘍マーカー」検査だ。血液検査で手軽に調べられるため、選択する人は多いのだが、果たしてそうだろうか。

一般的な人間ドックには、すでに血液検査が組み込まれているが、受診者の約半数が腫瘍マーカー検査をオプションで選択するという。そして腫瘍マーカーの検査結果に、多くの人が一喜一憂している。

そして基準値を超えると、精密検査を勧められ、CTやMRIなどの検査を受けることになるが、実際にがんが見つかるケースは極めて少ないという。

腫瘍マーカー検査は、人間ドックや健康診断を行う医療機関の大半が取り入れている。国内の大学病院も例外ではない。東京大学医学部附属病院の人間ドックでは「オプション検診」として腫瘍マーカーが用意されているが、費用は1万2650円で、男性7種類、女性8種類の腫瘍マーカーを調べることが可能だ。

東京医科歯科大学から名称が変更された東京科学大学病院では「がんスクリーニング用」と明記し、11種類の腫瘍マーカーをオプション検査に入れている。

慶應義塾大学の人間ドックでも「プレミアムな検査プラン例」として、三大疾患(脳血管障害・心臓病・がん)を詳細に検査する中に、腫瘍マーカーも組み込まれている。しかし結論から言おう。

がんの早期発見に腫瘍マーカーは役に立たない

2020年に、国立がん研究センター中央病院の人間ドックで、がんと診断された患者を対象に腫瘍マーカーの数値を調べたところ、異常値は約1割だった。残り9割は、がんがあっても数値は正常値内だったのだ。

がんに反応する能力の「感度」が1割だったという凄くショッキングなデータだが、腫瘍マーカーはがんの早期発見にはほとんど役に立たないのだ。なのでオプション検査に腫瘍マーカーを追加するのは、やめたほうがいい。

感度が低いので検査は“補助的”に使うべき

感度が低いというのは、実際にがんがあっても反応しない可能性が高いことを意味する。腫瘍マーカーの数値が基準値内に収まっていたとしても、それは決して安心材料にはならないのだ。

また、がん以外の疾患や年齢、妊娠、月経、飲酒、喫煙などが、腫瘍マーカーの数値に影響する場合もある。

本来、腫瘍マーカーは、がん治療の効果や経過観察の時、他の検査と組み合わせた診断で“補助的”に使用するものだそうだ。例えば大腸がんの手術をした後、再発を監視する時に腫瘍マーカーの数値は重要になる。

人間ドックや、がん検診のオプション検査として、腫瘍マーカーを追加することは無意味だ。それは“見逃し”が多いからだ。

腫瘍マーカー検査は病院の儲けに

がんの早期発見には腫瘍マーカーが有用だと誤解している人が多いのも事実だが、臨床医や検診の専門家にとって、がんの早期発見に腫瘍マーカーは無意味であることは、いまや共通の認識になっている。それなのに、人間ドックなどで腫瘍マーカー検査が行われているのは、病院の収益向上が目的と考えられる。

帝国データバンクによると、2024年は医療機関の倒産が過去最多のペースで推移しているという。コロナ禍により減少した患者数が戻らないことなどが要因とされている。

また、国立大学の附属病院は採算性を要求されるようになり、東京大学や東京科学大学で富裕層向けの人間ドックを始めるなど、患者一人当たりの収益性を高めることに腐心するようになった。

早期発見につながるPSA検査

しかし腫瘍マーカーの「PSA」だけは、事情が異なるという。感度と特異度が高いので、男性特有の前立腺がんを早期発見することが可能だからだ。

注意が必要なのは、前立腺がんは他のがんに比べて、予後が極めて良い点だ。前立腺がんは、日本人男性の罹患数では最も多いがんだが、5年生存率でみると、膵臓がんの8.9%に対して、前立腺がんは99.1%と極めて高いのだ。

進行が遅く、寿命に影響しないと考えられるタイプの前立腺がんもあるが。前立腺がんで亡くなる人は、年間1万人を超え、日本人のがん死亡数6位なので、決して油断はできない。

腫瘍マーカー検査をあえて追加する必要性は?

実は、腫瘍マーカーのPSA検査の有用性をめぐっても、世界的な論争になっている。

2009年、ヨーロッパで報告された大規模な臨床研究で、PSA検査を使った前立腺がん検診による死亡率低下が証明された。これを受けて欧州泌尿器科学会はPSA検査を前立腺がん検診として推奨した。

同時期、アメリカでは臨床研究で異なる結果が出たため、PSA検査は推奨されなかった。現在、日本のガイドラインでは、PSA検査は推奨されていないが、日本泌尿器科学会はヨーロッパと同じく、PSA検査は有用としている。その他の腫瘍マーカー検査に関しては、がん検診として有効であるという意見は皆無に等しいのだ。

まとめ

結論から言うと、腫瘍マーカー検査は副作用がなく、身体の負担にはならないので、金銭的に余裕があるならオプション検査は有りではないだろうか。しかし世の中にはもっと高額で無意味な検査や療法がたくさん存在する。

1割の人が腫瘍マーカーで発見できるのなら、それはやった方が良いと思う人もいるだろう。がんになった人が、あの時腫瘍マーカーを受けていれば見つかったかもしれないと後悔している人がいるのも事実。

どちらを選ぶのかはあなた次第だ。

3 COMMENTS

だから病院は儲かるのか~👀

貧乏暇なしだし、金も無しだから~ この類の検査は一度もしたことが無い😁
幸い何不自由なく症状もなく生活できているから、検査とは無縁なんだよね~
区からいっぱい無料検査の案内は来るけど、一度も使ったことが無い~👀
でも、これから高齢になるから、いろいろと考えなきゃいけなくなるんだろうね😞

返信する
そもそも前立腺がなかった

今後はオプション検査はPSAだけにしておきますって、私女子だったんだ😛笑笑

返信する
なるほどね

癌を見つけるのもお金持ちからね。「ふざけんな❗」と言いたいとこだけど、それは仕方ないかな。世の中すーーーべてお金ですからね🤭その理不尽さに若い頃なら反発もしただろうけど、世の中わかる年頃ですからね🤭癌になったらその時に考えます💕

返信する

コメントを残す