【投稿】同級生とのお別れ

昔の上司から突然電話があった。一緒に仕事をしていた新潟の同級生が、肺がんのため亡くなったという知らせだった。

昔の話になるが、私が朝鮮大学校を卒業して配置されたのは、朝鮮総連中央本部社会局だ。部署は祖国訪問担当部署で、北朝鮮に渡航する訪問者たちを円滑に届けるという部署だった。

亡くなった同級生は私と同じ年で、彼は新潟県柏崎市で生まれたが、新潟にウリハッキョができると、小学校3年から親元を離れ、寄宿舎生活をしながら勉学に励んだ。高校卒業までの9年間、新潟と茨城での寄宿舎生活をしながら学業とスポーツに励み、卒業後は朝鮮総連新潟出張所の職員として働きだした。

私が卒業した頃は、短期祖国訪問団は2年目に入っていて活況を呈していた。日本全国から同胞たちが集まり、60年代に始まった祖国への帰還運動で、自分たちの兄弟や親戚、子供たちが帰国している家族たちがほとんどだった。帰国した肉親たちを一目会うために、日本全国からはるばる新潟に集まってくるのだ。

私の仕事は、いかに訪問団を円滑に船に乗せて届けるかという事が主な仕事だったが、名簿の整理から、再入国の手続き、宿泊先の手配、荷物検査など数えきれない仕事が山ほどあった記憶がある。

船が入港した時から、新潟港を出航するまでが、待ったなしの私たちの本番だ。出発前の前日になると、何百人と集まる同胞たちを集め、説明会を開き、各自の荷物を確認、そして夕食となるが、倉庫では自分の荷物を確認しようとわんさかと人が集まってくる。時には文句を言いながら、でも同胞たちの親族に対する気持ちを思うとそれも致し方ないと思いながら、訪問者が円滑に祖国に訪問できるように私たちは必死に作業した。

彼とは戦友のような気持ちで、短い間だったが熱く濃い時間を過ごした。 その同級生が25日、天国に旅立ったという知らせを聞く。 

一目、お別れを告げようと、新幹線で長岡に向かった。 64歳で天国に旅立ってしまった。 お通夜は当時新潟で作業をしていた昔の仲間や同級生たちが大勢集まった。

いま新潟出張所は、北朝鮮による拉致事件がきっかけで、祖国への訪問が途絶え、その役目を終えてしまった。学校も廃校になり、当時の活況はないと聞く。本当に寂しい限りだ。