夫には1歳年下の妹がいる。妹もすでに結婚していて4人の子どもを育てている。その子どもの一番上がミナちゃん。ちゃん丸より1つ年上の女の子である。
義妹は大阪の義実家のすぐ近くに住んでいる。だから義妹とミナたちは、ほとんどいつも義父や義母と一緒。どこのムスメもたいがいは実家大好きなんだろう。だって居心地いいもん。
さて、しっかり者だけどやんちゃ娘のミナちゃん。一番年上ということで、義母にめちゃくちゃ厳しく育てられている。ちゃん丸が大阪に行った日には、その差が歴然なのだ。
義母がチャン丸と私とミナを連れてお買い物に行った時のこと。義母はちゃん丸には何でも許すから、ちゃん丸がねだったオモチャは片っぱしから買う。義母に手をつながれ隣で歩くミナ。
ミナ:いいなぁ~、ちゃん丸… ハンメ!ミナも欲しい。買って!
義母:あんたはダメ。ちゃん丸は特別
私は一連の流れを横で眺めながらハラハラしている。
別の日、義実家でのこと。義母の上にミナが座り、ちゃん丸は畳に座っている。
ミナ:ハンメ、お話しして
義母:うんうん、してあげるね
そう言って、義母はミナに昔話風に語り始める。
義母:むかしむかし、あるところに……かわいくてお利口さんなちゃん丸君と、いじわる~なミナちゃんがおりました。
「かわいくてお利口さんなちゃん丸君」の部分の愛らしい感じとは反対に、「いじわる~なミナちゃん」の部分にはありったけの悪意がこもっている。
ミナ:えぇ!ミナ、いじわるなん!
義母:そやで。ちゃん丸がお利口さんやねん。ミナはちゃん丸みたいにお利口さんじゃないやろ?
ミナは不服そうに口をとがらせて黙る。義母のちゃん丸物語は続く。それを聞きながら、義妹もたまらず苦笑い。私も気まずくて苦笑いする。
ちゃん丸が東京へ帰る日。ちゃん丸が東京へ帰るからと、義母はまたオモチャを買う。
ミナ:いいなぁ!ちゃん丸!!ハンメ、ミナも!ミナも買って!!
義母:ちゃん丸は今日東京に帰っちゃうもん。ミナも寂しいやろ?
ミナ:オモチャ買ってもらえんねやったら、ミナもおうち帰りたい!ミナもおうち帰る!!!
膨れっ面のミナ。
義母:うんうん、それがええ。ミナ、帰り、はよ帰り。
義母は流すように相づちを打つ。
ミナは結局、オモチャを買ってもらえていない。しかし、ちゃん丸が東京に帰ったあとはミナの天下である。大好きなハンメとハルベを独り占め。オモチャも買ってもらえるし、義母はミナにも色んな洋服を買ってあげる。
ミナ:ハンメ、ちゃん丸、今度いつ大阪遊びに来るかなぁ!
どんなに理不尽でも決してちゃん丸を疎ましく思わず、ハンメとハルベと、ちゃん丸のことまで大好きなミナ。たくさんのオモチャとお洋服に囲まれて、今日もすくすくと育っている。