ちゃん丸のクラスにはマドンナがいる。彼女の名はこゆちゃん。
こゆちゃんはみんなからモテモテで、「可愛い子だれ?」と聞くと、決まって一番に名前があがる。もちろんちゃん丸に聞いても「こゆちゃん!」と即答。
そんなこゆちゃん。
いつもちゃん丸より早く登園し、先に遊び始めている。そして、いつもブロックやチェーンのオモチャを上手に組み合わせて、装飾品を作り上げ、めちゃくちゃ着飾っている。
こゆ:ちゃん丸くん、おはよう。
今日もこゆちゃんはビーズのオモチャで作ったアクセサリーを全身に輝かせている。頭にはティアラのような飾りまで。笑顔までお姫様のよう。ちゃん丸は忙しそうに朝のお支度をしている。
こゆ:ちゃん丸くん、お支度終わったら一緒に遊ぼ。
返事をしないちゃん丸に、私があせる。
私:ほら、ちゃん丸。こゆちゃんが話しかけてるよ。
ちゃん丸はこゆちゃんを見ながら面倒くさそうに答える。
ちゃん丸:今おしたくしてるからちょっと待ってて。
こゆちゃんは微笑んでいる。
おっ、ちゃん丸。その歳でもう女の子を手玉に?!やるぅーーー!!
マドンナといい感じのちゃん丸に、若干テンションが上がる私。
そこへ、男の子たちが集まってくる。
男の子:ちゃん丸ー!おはよー!ベイブレードしようぜ!
ちゃん丸:うん!やろうやろう!
(なに?!)
私:ちょ、ちょっと!ちゃん丸!!こゆちゃんと遊ぶ約束は?!
ちゃん丸:おれベイブレードがいい~!こゆちゃんも一緒にやっていいよ。
そう言って、ちゃん丸は男の子の群れへと入っていく。
こゆちゃんは、その様子を寂しそうにみている。
また別の日。ちゃん丸が登園すると、こゆちゃんが話しかけてきた。
こゆ:ちゃん丸くん、こゆと遊ぶ?
相変わらず、今日も全身お姫様のよう。ちゃん丸はこゆちゃんをチラ見して、聞こえないフリをしている。もう!!ちゃん丸ったら!
せっかくこゆちゃんが話しかけてくれているのに、何なのその態度は!!
私だけがちゃん丸の態度に焦っている。
こゆ:ちゃん丸くん、こゆと一緒に遊びたいでしょ?何して遊ぶ?
こゆちゃんが詰め寄る。するとちゃん丸。
ちゃん丸:うるさいなぁ!おれ恐竜ごっこしたいの!オメー恐竜ごっこ出来ないダロ!!
それを聞いて、私は白目。こゆちゃんは固まってしまった。
私:・・・こゆちゃん、ごめんね。
こゆ:ううん、いいの。えいたくんとやるから。
そう言ってこゆちゃんは、違うお友だちを誘って遊び始めた。ちゃん丸が女の子にときめくのは、100 年先かもしれない。