【健康】お酢を積極的に摂ろう

「お酢は体に良い」と聞いて驚く人はまずいない。古くから様々な料理に使われてきたお酢が体に良いのはなんとなく理解はできる。 でも、なぜ体にいいのか、体のどこにどう効くのかと聞かれれば、即答できる人は少ないのではないか。

お酢の歴史は非常に古く、その起源は紀元前5000年頃まで遡ることができると言われている。でも健康食品としてのお酢の研究が進んだのはせいぜいここ数十年前のことだ。

日本では1980年代に、鹿児島の「黒酢」にスポットライトが当たったのが始まりだ。90年代後半からは人を対象にした臨床実験も行われるようになり、今やお酢は科学的根拠のある健康食品として、広く効果が認められている。

お酢には穀物酢、米酢、リンゴ酢、黒酢などいろんな種類があるが、実は健康への効果という点ではほとんど違いはない。全ての食酢に共通する主成分は「酢酸」だ。

スーパーに行けば500mlのお酢が180円程度で手に入るのだ。そんなお財布にも優しいお酢について今日は考えてみよう。

お酢は血圧を下げる効果がある

まずお酢には、血圧を下げる効果がある。特に高血圧の人は、高い人ほど血圧が大きく低下し、健康的な血圧まで下がると言われている。 この効果はてきめんで、飲んだ後2時間程度という短時間で下がるということが確認されている。夜中に血圧が高くなりやすい人は就寝前に、また午前中に血圧が上昇してしまう人は、起床後すぐにお酢を飲めば、ピーク時の血圧を下げる効果が得られるという。

この効果は実際にお酢を飲むという行為ではなく、お酢を料理から摂取する方法でも問題はないと考えられている。「 酢の物」を食べている男性は食べない男性に比べて、血圧が改善される傾向にあることが確認されているのだ。

骨粗鬆症や疲労回復にも 

お酢の効果は高血圧の予防だけにとどまらない。 肥満や糖尿病、脂質異常症の予防や改善という観点からも有効なのだという。肥満を防ぐには一に食生活の改善、二に適度な運動が重要だが、この運動と同じ反応が、お酢を飲むと体の中で起きることがわかっている。 ここでも鍵を握るのはやはりお酢に含まれる「酢酸」だ。

その他お酢には、体内でカルシウムの吸収や骨形成を促進する働きがあることが分かっていて、毎日一定量を摂取することで、骨粗鬆症の予防にも有効だと考えられている。こうした健康効果を得たいのであれば、1日あたり1500mg程度のお酢を継続して摂取する必要がある。 これは市販のリンゴ酢であれば30ml 程度、穀物酢であれば40ml程度で摂取できる分量になる。なので大さじ2杯程度という分量で高血圧から肥満、糖尿病、脂質異常症といった疾患の予防や改善効果が得られるという。 

でも、体に良いからとそのまま摂取するのは、酸味が強すぎて到底無理だと思う。半分の量の15mlなどを、ジュースなどの飲料に混ぜて、残り半分を料理からというのが現実的だろう。料理に使用するのは「穀物酢」で構わないが、他の飲料に混ぜる場合には、香りがいい「リンゴ酢」が飲みやすいと思う。

お酢には健康被害がほとんどない

お酢と組み合わせる飲料に特に制限はないが、ジュースやスポーツドリンク、飲むヨーグルトなどに混ぜると飲みやすい。 またジュースと混ぜるのであれば、グレープフルーツなど柑橘系の果汁との組み合わせが特におすすめだ。 またヨーグルトなどに含まれる「乳酸」も、酢酸の酸味を抑制するため、飲むヨーグルトやカルピスに混ぜるのもいい。 

この頃は、各メーカーがお酢を飲みやすく加工した「飲用酢」なども販売しているので、経済的に余裕があるなら、それを利用するのも一つだ。

酢酸は加熱の影響を受けないため、火を通しても分解されたりすることはなく、その点でお酢は使いやすい調味料といえる。ただし水と同じように蒸発するので、摂取量はその分を差し引いて考える必要がある。 料理に使う場合は、全部の量が体内に入るわけではないことにも留意しておかなければならない。 

またお酢には、酸味を加えること以外にも様々な調理の効果がある。お酢の殺菌効果などは有名だがそれだけではなく、食材のカルシウムを溶かしたり、塩味を際立たせることによる減塩効果も期待できる。 またお酢は摂りすぎることによる健康被害がほとんどないことも分かっている。原液のまま、お酢を希釈せずに飲用すると胃の粘膜が損傷するが、そもそも多量のお酢を一気飲みできる人はいないと思う。

身近で安価で機能的、それでいて安全性も確保されているお酢は、いいことずくめの調味料だ。 是非皆さんも自分に合った「お酢ライフ」を試してみてはいかがでしょうか。