65歳以上のうち、4人に1人の割合となる認知症。認知症は誰もがなりうるもので、決して他人ごとではありません。大切なのは、まず認知症について正しく知ること。そして、いざ認知症になったときのために、本人だけでなく家族がしっかり備えることだ。そこで今日は、今から知っておくべきコミュニケーション方法や備え方などを考えていきましょう。
認知症について、正しく理解している?
認知症とは、さまざまな原因で脳の細胞が壊れ、働きが悪くなったりするために障害が起こり、普段の生活をするうえで支障をきたす状態が続くことで、一般的におよそ6ヶ月以上その状態が続くと認知症とされています。
認知症になると、必ず見られる症状が「中核症状」。物事を覚えられなくなったり思い出せなくなったりする「記憶障害」と、考えるスピードが遅くなる「理解・判断力の障害」、計画通りに行動できない「実行機能障害」、そして、時間や季節、場所、人との関係が分からなくなる「見当識障害」だ。
さらに、性格や素質、暮らしている環境などが作用して現れる「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれるものもある。その現れ方には個人差があるが、例えば、歩き回って帰り道がわからなくなってしまったり、妄想や幻覚といった症状が出たり、暴力行動や不潔行為を起こしてしまう場合もある。
では、いったいどのようにして認知症は進行していくのか。認知症が進行するスピードには個人差がありますが、例えば初期の段階では、数日前のことを忘れることがあり、症状が進むと家族の名前を忘れたり、家族の存在自体を忘れてしまったりすることもあります。「行動・心理症状(BPSD)」が進むと、大事なものを盗られたと騒ぐ妄想や他人から攻撃を受けている被害妄想などが起こる場合もある。
また、認知症の症状が進むと、日常生活のあらゆるところで支障が出て、閉じこもりがちになってしまう人もいるのだとか。
「理解・判断力の障害」が起こると、ATMでお金を下ろすことも難しくなり、最近はスーパーでセルフレジが増えたが、認知症の人はそれが理解できずに、スーパーに行けなくなってしまうケースもある。暮らしが便利になるために始まったシステムでも、認知症の方には生きづらさを感じる一因になっていることもある。そうして社会から孤立してしまう方もいるのです。
認知症の兆候とは? 予防する方法はある?
認知症になるとさまざまな症状が現れるが、普段の生活からその兆候を見つけることはできるのか。例えば、以前よりもの忘れが激しくなったり、同じことを何度も言ってしまったり、小銭の計算ができなくなったり、普段の生活を振り返ると、「認知症かも?」というシーンが思い浮かぶ場合もある。
多くの自治体では「認知症チェックリスト」のようなものを出しているため、疑わしいと感じたらそれを参考にすればよいと考えがちだが、それだけで判断するのは正直難しいという。
認知症と一口に言っても、実はいくつかの種類がある。最も多いとされているのが「アルツハイマー型認知症」で、そのほかにも「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」というものがあり、それぞれに特徴が異なる。なので簡単なチェックリストで、そのいずれかを見極めるのは非常に難しいのです。
実際、かかりつけ医でも、認知症の診断を正確に下すのは難しい場合があるようなので、チェックリストはあくまでも参考程度にとどめ、不安になったら認知症専門医の判断を仰ぐことが大切だ。
チェックリストでの判断だけでなく、医師の診察を受けて認知症と診断された。そのとき、治療によって症状を遅らせることが可能かどうか、非常に気になりますよね。専門医によると「遅らせる可能性はなくはない」というのが正直なところだそうだ。
アルツハイマー型認知症の場合は、「ドネペジル塩酸塩」(商品名:アリセプト)という薬を内服することで数ヶ月(9〜10ヶ月との見解もある)病気の進行を遅らせることができ、慢性硬膜血腫や正常圧水頭症の場合は、早期発見でタイミングよく治療できれば治る可能性もあるそうだ。ただし、それは認知症全体の1〜2割程度で、多くの認知症は治療で根治するのは難しいのが現状だ。
治療での根治は難しくても予防する方法はあるのか
脳血管性認知症の予防には、高血圧や高脂血症、肥満などの対策が有効です。アルツハイマー型認知症でも、運動を始めとする生活習慣病対策が発症のリスクを減らすと言われていて、完全に防ぐことは困難でも、生活習慣に気を配ることで発症や進行を遅らせることは可能だと考えられている。
さらに重要なのが歯の健康。最近の調査では、歯の状態が悪い人の方が、認知機能が低下しているといったデータもある。認知症に限らず介護の現場でよく言われているのが、咀嚼して飲み込むことができなくなると、むせや誤嚥(食べ物などが誤って気管に入ること)、誤嚥性肺炎になるリスクが高まり、体の状態が悪化する傾向があるということ。自分でしっかり咀嚼しておいしさを味わうことで脳神経が刺激され、脳の働きが活発になるのだ。
家族が認知症になったときは
いくら認知症の予防をしていても、完全に発症を抑えることは難しい。では、もし家族が認知症と診断されたら、どのように対処するのがよいのか。
家族が認知症になったときに、大事なのは、慌てず、騒がず、常に冷静さを失わないように心がけること。非常に難しいことだが、一つの方法として、起こった出来事を記録しておくことをおすすめする。例えば「今日は何時ごろに黙って外に出ようとした」とか、「食事のときに〇〇と言われた」とか、そうした記録は医療や介護の専門職に相談するときに役立つ。
さらに、自分の気持ちを書き留めておき、それを後から読み直すことで、客観的な目で自分の行動も見直すことができ、それが冷静さを保つことにつながるのだ。
家族が認知症の方を介護するのは、決して生易しいことではない。心身ともに疲弊し、自分の時間がまったく作れないという悩みを抱える人もたくさんいる。そんなとき、一人ですべてを抱え込むのではなく、ケアマネジャーやヘルパーといった介護のスタッフ、近所の方など、頼れる人に話を聞いてもらうのもいいでしょう。
認知症の方の言動は、介護をする人を映す鏡のようなもの。介護をする側がイライラしながら接していたら、認知症の方もそれに反抗するかのように奇声を発したり、暴力的になったり、ときにはその状態が続くことで症状が進行してしまう場合もある。冷静さを失わず穏やかな気持ちで向き合う。とても難しいことだが、それが両者にとって望ましい向き合い方だ。
今からできる備えとは?
家族が認知症になったら、慌てたり、ショックを受けたりすることはしかたのないこと。ただ、それを少しでも和らげるために大切なのは、今からしっかりと準備をしておくこと。その準備は大きく分けて3つある。一つ目は「マンパワー(人的資源)」、二つ目は「経済面」、そして三つ目が「環境の整備」。
マンパワーの準備で大切なのは、一人で抱え込まない状況を作っておくこと。高齢福祉課などの名称がついた自治体の窓口や介護保険の申請窓口でもある「地域包括支援センター」、介護サービスの提供事業者など、利用できる制度やサービスをしっかりと調べておこう。また、家族や友人など、相談したり、話を聞いてもらえる人がいるだけでも気分がいくらか楽になり、気分転換の手助けをしてくれるはずだ。
経済面で大事なのは、余裕を持って見積もりをしておくこと。一般的に在宅介護にかかる費用は一人あたり月額で平均5万円とされているが、認知症の症状によっては、もっとかかってしまうケースも少なくない。経済的に苦しいから十分な介護ができないといったことにならないように、よく考えて予め蓄えをしておくようにしよう。
環境の整備については、まずは介護用ベッドや車いすなどを置けるスペースを確保しておくことや、ヘルパーなど、訪問をする医療や介護のスタッフが動きやすい状態を保っておくことが大切だ。これは認知症に限らず、介護が必要になった際に言えることだが、手すりをつけたり、段差をなくしたりする住宅改修は、状態の変化に合わせて検討するほうが望ましい。
日常のコミュニケーションが何よりも大切
たとえ認知症になっても、その人にとって楽しいと思えることを継続して行なっていると、毎日穏やかに過ごすことができるケースは少なくない。そのため、親や家族の趣味は何なのか、何をしているときが一番楽しいのか、日常の何気ない会話から探っておくと役に立つことがある。
以前、近くの菜園で大根を掘っている女性がとても生き生きとした表情をしていた。話を聞くと、その方はずっと農作業をしながら生きてきたそうだ。そのほかにも、自分の趣味や昔から続けてきたことをしている人は笑顔で、とても穏やかな表情をしている。
そうした時間を持つことが、認知症の人の心と体に活力を与えると考えられている。だからこそ、今のうちから、親の生きがいや日常の暮らし方を知っておくことが、何よりも大切なのではないでしょうか。
怖い💦 読めば読むほど~怖い💦
まぁ~ 怖がってばかりじゃダメだから、準備はするけど~
実際に認知症になってしまったら嫌だな~😞
介護するのもされるのも嫌だな~
焦ってもしょうがないけど、あせる💦
怖い悲しい😢
みんな~、名前忘れたらごめんね。