9月に咲く花のように

存亡の危機の真っ只中 朝鮮総連

9月に発売された「選択」という情報誌に、「存亡の危機の真っ只中 朝鮮総連」という特集が掲載されていた。

その内容は、最盛期には40万人とも50万人とも言われていた朝鮮総連の会員数が、今は見る影もなくなったという記事で、その原因について考察している記事だ。 

記事は総連中央本部の許宗萬ホジョンマン議長批判から始まっている。「老害と未熟に振り回されれば大抵の組織は衰退する」と始まり 「自らの成功体験ばかりが記憶にとどまって美化され、失敗を忘れ、新しい状況に対応できない権力者と追随ばかりで苦言を口にできない取り巻きに持ち上げられた視野の狭い経験不足の若き独裁者によって、重大な危機を迎えている朝鮮総連がその最たる例だ」と手厳しい。

会員数の減少についてはご存知のように2002年9月、日本人の拉致を認めた時に起きた。信じてきた祖国が「テロ組織だったとは」と驚いた在日朝鮮人が、次々と組織を離脱したからだ。 

しかし長期的な衰退はこの前から始まっていた。それは1990年代の朝銀の破綻だ。在日朝鮮人の経済的な基盤が毀損きそんされ、会員数は減少を始め、次第に歯止めがかからなくなったのだ。 

2016年2月に公安調査庁が自民党の会合で報告した総連の会員数は、概ね7万人だったが、今では5万人から6万人程度だとする見方がもっぱらだ。しかしそのうち朝鮮籍の会員はその中の半数程度、残りの半数は韓国籍か日本に帰化した人々だ。そういう状況でも総連の本部はその流れを黙認するしかないのが現状だ。それぐらい今の総連は弱体化してるとレポートは報告している。

そして記事は、生徒数の減少が止まらない朝鮮学校についてもその原因を述べている。 数年前、高校ラグビーの強豪校と知られた大阪朝鮮中高級学校の敷地は民間に売却され、大阪市東成区の中大阪朝鮮初級学校のあった場所に移された事案は、同校の金不足が理由だとみられる。

2023年にも東京都品川区の不動前にあった東京朝鮮第7初中級学校の敷地もやはり民間に売られた。生徒数不足が影響したとも言われるが、売却額は70億円程度と言われ、これも資金難で売却されたことは間違いないだろう。 

生徒数減少の原因は単純ではない。世代が変わり、もはや民族教育は不要との考えも広がっている。また月額約4万円の学費は、家計の負担という現状も切実なはずだと記事は続く。

このような状況にも関わらず朝鮮総連トップの許宗萬議長は、現在の地位に上り詰める以前から、北朝鮮への多額の送金の実績を金正日総書記から認められ、組織を牛耳ってきた。 しかしその集金の手法には無理があり、朝銀破綻の原因を作った張本人でもある。今でも在日商工人の間で許宗萬議長を恨む声は絶えないという。 

また北朝鮮本国も、総連の「老害」には手を焼いていると言う。 総連が2020年9月の中央委員会拡大会議で第一副議長というポストを新設し朴久好パククホ氏を選出したのも、本国は許宗萬氏に引退を迫ったものの強烈な批判にあい、妥協策を示さざるを得なかったからだという。

もう90にも近い年齢で、糖尿病で足腰が弱り、視力に問題を抱えている議長と、本国のご機嫌をうかがう総連指導部に加え、本国の平壌幹部たちはその既得権を守るためそのままの状態を放置していると辛辣だ。

また去年末の朝鮮労働党中央委員会総会での金正恩総書記の発言は、朝鮮総連の存在意義を根底から揺さぶった。南北関係についても、もはや同族関係、同質の関係ではなく、敵対的な二国間関係、戦争中の二国間関係に完全に固着したと述べ、総連の宿願の「南北統一」が否定されたからだ。

植民地時代、日本は朝鮮半島を北緯38度線で分け、北側を関東軍が、南側を第17方面軍がそれぞれ管轄していたため、戦前から戦後にかけて北に住む人は旧満州に、南に住む人は日本に向かった。日本で結成された総連を構成する人々のほぼ全ての人は朝鮮半島南半分の出身の人々が占めるのは自然の流れだ。

総連の在日朝鮮人たちが南北統一運動に熱心に取り組んできたのは、日本での差別や苦しい生活に反発し、共産主義に救いを求める一方で、統一すれば再び祖国を訪れることができるとの思いを募らせたからだと記事は言う。

今年2月には「統一」や「民族」という言葉を使わないよう周知徹底させ、韓国政府や韓国系の民団とは交流するなと指示が下った。このような指示が県本部や下部組織に伝達されると、現場は混乱したという。総連の関係者は組織内から、韓国籍と日本国籍の会員はどうするのか、 朝鮮学校の教育はその人たちを排除するのか、という困惑とも怒りともつかぬ声が上がっていると証言する。

韓国政府筋によると金正恩氏の新政策は、北朝鮮の内部でも大きな混乱を招いているようだという。北朝鮮には今なお「統一すれば苦しい生活から逃れられる」と考える人が多いのも事実なのだ。

かつての総連は、北朝鮮にとっては巨大なスポンサーであり、北朝鮮の政策を支持する貴重な 海外組織だった。それが今や、独裁政権の身勝手な政策が、老害で衰えた組織にとどめを刺しそうな朝鮮総連の窮状は、哀れというよりほかないと記事は断じている。

※詳しい情報は本編をお読みください。

4 COMMENTS

周りがごちゃごちゃ言うなよ~

どこまでちゃんと取材をして記事にしているのか分からないけど、言いたい放題だね💦確かに絶大な権力を持った議長が長らく居座っているのは良くないと思うけど、そこで働いている人たちは、それはそれは必死なんだよね~👀
どうにか健全な組織になって欲しいなぁ~

期待しないよ

まあ、ご老人は早く引退してほしいですね。議長が若いからって変わりはしないけど。

不動前

敵対心は感じませんし、正しい分析なのではないかと思いました。
うなずける内容でした。
決してネトウヨ的な記事ではないのではないでしょうか。
私はそう思いました。

変わるが勝ち

末永く存続するポイントは変わりゆく環境変化にどう対応するかだろう。記事の全てを鵜呑みには出来ないけど的は得てる。生き延びるためには変わらなくちゃね。

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