9月に咲く花のように

【投稿】強制不妊手術が問う“国家犯罪”に思う

日本は、敗戦後約50年近くにわたり、遺伝性疾患や障害のある人たちに、不妊手術が強制されていた。最高裁大法廷は2024年7月3日、この行為が憲法に違反していると断じ、被害者への賠償を命じた。

私は、まだこの国は正義が生きていると思うと同時に、個人の尊厳を踏みにじるようなことが、最近まで国家主導で行われていたことに驚きを隠せなかった。その後ろ盾になっていたのが「優生保護法」という法律だった。

「不良な子孫の出生を防止する」ことを明記したこの法律は、そもそもゆがんだ価値観に基づいていた。敗戦後の復興に貢献する人は増やし、そうでない人は足手まといになるから不要だと決めつける考えが背景にあった。

この政府のお墨付きを得て、日本の各地では「不幸な子供を作らない」社会運動がすすめられた。人権の観点から問題視する医師や行政官もいたが「合法だから」と押し切られた。

出産時に帝王切開手術のついでに、知らされないまま不妊処置をされた女性や、素行不良という理由で、生殖能力を奪われた男性。中には9歳の女児もいたという。

この一連の非道の背景には科学があった。「優生学」を生み出した男とされたフランシス・ゴルトン(1822-1911)は、あの「進化論」で有名なダーウィンのいとこにあたる。「家畜を繁殖させて望ましい形質に改良できるなら、人も繁殖のコントロールによって改良できる」と考えた。

科学的に未熟なこの発想は独り歩きし、20世紀前半には世界各国で政治に悪用された。21世紀になり科学は進歩し、病気の理解が遺伝子レベルまで進むが、いまだ「優生思想」が新たな形で首をもたげていると感じる。

今のイスラエルの紛争もそうだし、世界各地で起こる移民問題や経済的弱者を排除する一連の行動も、根底にはこの思想があるように思えてならない。

フランシス・ゴルトン(1822-1911)

ゴルトンは、後に行った統計学的な調査で、優生学の複雑さに気づくことになる。「優れた親から優れた子が、駄目な親から駄目な子が生まれるとは限らない」事も発見する。平均的であるということは生きやすく、生き残りやすいということの可能性も示唆した。

しかし、これを理解したところで、人は過ちを繰り返す生き者だ。あの国の指導者も然りだ。

小学生の愛娘を連れまわし、後継者にしようとしたところで、“優れた親”から“優れた子供”が生まれるとは限らないんだよね。それを三代目は自覚してほしいものだ。

3 COMMENTS

身内なら黙ってない💦

ひどい時代があったんだね💦
処置された人たちは、たまっもんじゃないよね🥵やだやだ〜

悪法

なるほど、朝鮮の指導者とその娘。許せない気持ちは同じだけど、優勢保護法の悪法と一緒にしないでほしいなぁ。
身内に身体の悪い人がいないと他人事と思える法律ですが、悪法中の悪法だとおもっています。無くなって良かったけど遅すぎる。

悪法

あ、投稿者さんは、
強制不妊手術は違法であるとされた最高裁判断に、この国の正義は生きていると思ったと記しています。👏

念のためです。

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