【国宝】延嘉七年銘金銅如来立像

1963年夏に、慶尚南道宜寧で偶然発見されたこの金銅仏は、韓国古代彫刻史の基準作であり、韓国的な情緒と美感が発揮された最初の仏像に数えられいる。像の光背後面に「539年に高句麗で作られた」と記録されている韓国最古の紀年銘金銅仏だ。

仏像は、光背と蓮華座、身体が一度に鋳造され、像全体に鍍金が厚く掛けられ、生き生きとした金色の光彩を放っている。仏は舟形の光背を背景に、蓮華座の上にまっすぐ立った堂々たる姿で、頭は初期仏像には珍しい螺髪で、中央にはコマ形の肉髻が立っている。

顔の形は、中国・北魏時代の金銅仏や雲崗・龍門石窟でよく見られるもののように細長く、耳は楕円形の板を貼り付けたのみで細部の表現は殆どしていない。長い顔には、目鼻口の輪郭だけを表現してあるが、ぐっと閉じた目と淡い微笑をたたえた小さな口元に静的な雰囲気が満ちている。

光背は、上部分が壊れたものを接合したもので、表面いっぱいに一定のパターンを見出しがたい躍動的な火炎文が刻まれている。

目に見えない仏の神聖な気運を火炎文様を通して視覚的に描写している。光背裏面には鋳造作業が終わったのちに、端に刻み入れた4行47字の楷書体の銘文が刻まれている。