9月に咲く花のように

【投稿】金正恩率いる北朝鮮に“未来”はあるか

先日、同級生に「北朝鮮関連の記事に関して、手厳しいことを言うなぁ」とやんわり批判されました。金正恩総書記が権力を世襲して早や12年、果たして金正恩政権は「安定基調」に入っているのだろうか。

この間北朝鮮は、国際社会の厳しい制裁を受けながらも、核を手に入れ、新型コロナウイルスを克服し、今やロシアを味方につけて経済の立て直しにメドをつけようとしているかのようにも見える。反面、経済の立て直しのために打ち出した計画は、必ずしも成功したとは言えない。

社会不安もかつてないほど深刻で、政権自体もますます弱体化しているようにも見える。そこで、最近の金正恩総書記の様子を見てみることにしよう。

最近の金正恩総書記は、健康悪化が囁かれる中、スーパーマンのごとく振る舞っている。7月の1か月だけで地方の視察や会議など、公開活動を22回もこなしている。白頭山の麓にある三池淵市を訪れ、新たに建設されたホテルが粗悪に施行されたとして激怒、建設を担当した閣僚らの処分を指示。今年末にはスキー場を備えた大規模リゾート施設を完成するつもりだったが、この事業も計画通りにはすすんでいないようだ。

直後の7月15日には、咸鏡南道新浦市にある海岸の貝の養殖場を訪れ、養殖のモデル事業をすすめるよう「特別指示」を出した。ホタテと昆布の養殖をうまく行なえば、3~4年後には最も裕福な地域になると話し、この事業を軍部隊に委任したとされる。このように金正恩総書記はこれまで北朝鮮のほとんど全ての事業に対して口を出してきた。

しかし、肝いりの大型開発事業として世界の注目を浴びた馬息嶺スキー場は、完成したものの当初1日5000人の客を見込んだが、今年始めにロシアの少年スキー団20数人が利用しただけで、完成以来ずっと閑古鳥が泣く状況だ。

また、2020年3月に金正恩総書記は、平壌総合病院の起工式に姿を表し、同年10月まで完成するようにと号令を出したが、4年が経った今なお、完成を見ていない。このようにこれまで金正恩総書記が手がけた事業は、何一つ、うまくいっていないことがわかる。

では軍事部門ではどうだろうか。今年8月4日、金総書記が新型戦術弾道ミサイルの移動式発射台250両を、韓国との国境付近の前線部隊に引き渡したと報じ、発射台が横並びで前進する壮観な動画を見せつけられたが、中に本当にミサイルが載せられたかは疑問だ。それは北朝鮮のメディアがいつも見せている「威容」は、中身を伴わない「虚勢」だからだ。

そして武器開発の成果を世界に誇示しようとしている軍事偵察衛星の打ち上げだ。一度は打ち上げに成功したものの、それ以降はことごとく失敗している。ロシアから技術陣が派遣され、エンジンを丸ごと供与してもらったと噂されているが、付属品などに問題があったのではないかとも見られている。

ウクライナが出した今年1月の報告書によれば、北朝鮮製の弾道ミサイルには、日本で生産された自動車のベアリングの部品が使われていたり、重要部分に中古車などで調達した代替品が使われている実態が浮き彫りになった。 

このような状況は何を物語っているのだろうか。金正恩総書記は何か成果を出そうと焦燥感に駆られているのではないだろうか、指導者としての焦りを感じてしまうのは私だけなのだろうか。

2012年以降、韓国に亡命した脱北者を対象にした調査報告書によれば、脱北者の7割以上が、配給を受けた経験がないと言っている。 また1990年代以降に生まれた若い世代は、金正恩総書記への忠誠心などはなく、韓国や韓国の文化に憧れているとの実態も浮き彫りになった。

こういう実態を金総書記は分かっているのか、盛んに「人民愛にあふれた指導者」を演じることに余念がない。しかしこういう姿に真心がないことは、テレビを見ている北朝鮮の住民が一番よくわかってる。 

また、金総書記の健康不安説はつねに付きまとっている。1984年生まれの金正恩総書記は最近、高血圧や糖尿病に効く新たな治療薬を探しているという。この報道の真偽のほどはわからないが、見た目の体重は140kgを超える過度な肥満状態で、見るからに心疾患を発症するリスクは高いようだ。 

私が解せないのは、あれだけ「万年長寿」を願っている国民が、指導者の健康のために食事を制限したり、たばこを吸うのを制限させたり、適度な運動をさせたりはしないのかと思ってしまう。酒を飲んでいなくても酒を飲んだ酔っ払いのように顔は真っ赤で、息をするのも苦しそうな状態は40歳の健康な人間とは思えない。

最近、金正恩総書記は、平壌との格差、都市と農村の格差をなくすため、毎年20の郡に近代的な工場を建設する事業を10年間続けると謳った。しかし日本から見る私の目にはこの政策も場当たり的で、必ず失敗すると思っている。

北朝鮮の住民が味噌や醤油が食べられないのは工場がないからではない。そもそも大豆が手に入らないからだ。そしておかしいのは、味噌も醤油も供給できないのに、衛星打ち上げなど宇宙開発には熱を上げていることだ。

このような金正恩総書記の政策を最近見ていると、この国の将来はそう長くないと思うのは私だけだろうか。

3 COMMENTS

やれやれ~

一世たちは、私が生きている内に祖国の統一を目にしたい!と希望をもって生きてきたが、無念な気持ちでこの世を去った💦
我々二世も同じ気持ちで、生きている内に、せめて立派な国になって欲しいと願ってきたけど、生きている内に国が無くなってしまわないように願わざるを得ないね😢

おデブさんの将来は…

場当たり的な政策ばかりで、未来はありません。
社会主義の限界かもね。
資本主義にどっぷり浸かっているワタシにはそう見えます。

どうにかならないかな。

詳しい経済の情勢は私にはわからないけど、朝鮮が好きだし応援したい。ただ、この気持ちは盲目的であることも自覚している。
管理人がやたらに批判するのも気に入らない。気に入らないけど、もっともな意見だなとも本心はちょっとだけ思う。
元凶はあの指導者であり、それゆえの国の体制だ。
ホントにどうにかならないものか。毎日を能天気に過ごしているが、それを考えると気が重い。

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