【韓国】法律まで変えてしまう韓国の物価高

最近、韓国に行かれた方は、物価の高さに驚かれたと思います。以前は１万ウォンあれば余裕で食事ができましたが、今は１万ウォンでは充分な食事ができないと聞きました。

コロナ禍前の2019年頃から急速に上昇した韓国の物価上昇が、あの法律をも変えようとしています。その法律とは「キム・ヨンラン法」です。

2016年に施行されたこの法律は正確には「不正選択および金品等の授受禁止に関する法律」という名前で、公職者の不正・腐敗を防止するために制定された法律です。 もう少し詳しく紹介すると、公職者とされる公務員や政府関連機関、公共機関の職員、学校の教職員、マスコミの関係者らがその対象で、その配偶者も範疇に含まれます。

韓国では長らくの間、いわゆる高額接待、つまり賄賂が横行していて、それが社会悪とされ、2012年に国民権益委員会の委員長を務めていたキム・ヨンラン氏が最初に提案したことから「キム・ヨンラン法」とも呼ばれました。

先に掲げたように、学校の先生もその対象に含まれます。韓国では毎年5月15日は「先生の日」という記念日があり、先生にプレゼントを渡すことが比較的気軽に行われていました。

法律の対象者は、職務と関連がある人から１回あたり３万ウォンを超える接待を受けたり、 １回あたり５万ウォンを超える贈り物を受け取ったり、１回あたり10万ウォンを超える祝儀や香典を受け取ると処罰されるという厳しいものです。

結局、この法律が導入された後、接待を含む飲み会が韓国では敬遠され、高級居酒屋や料亭のような場所は廃業に追い込まれました。ところが時が経ち コロナ禍も過ぎ、人と外食する習慣が減ったこともあってか、意外とこの法律に対する批判も少なくなってきました。

ところが、昨今の急激な物価高に伴い、ただでさえ少額接待しかできない中、物価上昇に合わせてその金額もスライドすべきだという意見が高まってきました。先日「キム・ヨンラン法」で定められた公職者への飲食接待費の上限額を、３万ウォン から５万ウォンに引き上げる方針を明らかにしたそうです。

不正の撲滅のために施行された「キム・ヨンラン法」も、昨今の物価上昇の波には逆らえなかったようですね。