俺の介護日誌ー⑩　オモニの旅立ち

今は通信手段はLINEという便利なアプリがある。おかげで兄弟たちもグループLINEで一つに繋がっている。オモニの病状も兄弟たちが共有できるようになっている。オモニを看病している姉から逐一、LINE が入ってくる。 

「昨夜はトイレに行きたいって何度も言ってきた。でも確認してもらったけどおしっこは出てないみたい」「昨夜は叫んだりして少し暴れた」「酸素濃度も下がって血圧も少し下がっている。しばらくして回復した」「言葉も少し聞き取れないこともあるけど夜勤の人が病院の先生に状況を説明し、しばらく様子を見ることになった」などの報告が入ってくる。

実家で留守番をしているアボジは、日常の生活のリズムを乱さないように気をつけている。 アボジは週三回のデイサービスを欠かさないように行い、二泊三日のショートステイも１０月から取り入れはじめた。

今日はアボジのデイサービスの日だ。八時頃、姉からLINEが入る。姉の呼びかけにもオモニは反応しなくなり、血中の酸素濃度もどんどん下がっているという。ナースに連絡し待っているところだという。

私はアボジをデイサービスに送り出し、介護老人ホームに駆けつけた。ほどなく兄弟たちも集まり全員が揃う。オモニの呼吸はどんどん弱くなり体温も下がっている。お別れの時が近づいているようだ。

「オモニ！オモニ！」と兄が大きな声でオモニをこちらに引き戻そうと大声で呼んでいる。私は静かにオモニが旅立つのを冷静に見守っている。

オモニは一度大きく息を吸って安らかに旅立った。