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【北朝鮮】非公開会議を公開、怒り心頭な金正恩委員長

本来、朝鮮労働党の書記局拡大会議は非公開が原則だが、今回の拡大会議は党内で発生した異常事態を受けての会議だった。

通常、党の書記局は「党の内部業務」を担当し、原則として会議内容を非公開とするが、2021年の第8回党大会以降、約30回開催された書記局会議のうち、内容が公開されたのは今回を含め3回のみ。それだけ今回の議題が「国家的に重要な問題」であったことを示唆している。

しかしその内容は「南浦市温泉郡の党委員会および行政指導幹部が党規律を『全面拒否』し、集団で不正行為を働くという特大事件を引き起こした」とし、さらに「慈江道雩時郡の農業監察機関の監察官が、法的権限を悪用し、人民の利益と財産を乱暴に侵害する反人民的犯罪行為、特大級の犯罪を犯した」という。

注目すべきは、今回「重大事件」が発生した2つの地域が、いずれも「地方発展20×10政策」のモデル地区として中央の集中的な支援を受けていた点だ。この政策は金正恩総書記が推進する重点事業の一つであり、その指定地域で不正が発覚したことで、最高指導者が直接、乗り出す形となったようだ。

南浦市温泉郡の工場竣工式 2025.1.

現在、北朝鮮では規律強化と監視体制の強化の一環として、住民による陳情制度が奨励されており、腐敗による被害を受けた住民の告発が発端となった可能性がある。しかしこの不正、今に始まったことではない。

会議で怒り心頭な金正恩総書記

例えば経済部門では、2018年7月に新義州の化学繊維工場、両江道三池淵郡のジャガイモ粉工場、咸鏡北道の塩粉津ヨンブンジンホテルと温浦オンポ保養所それに漁郎川オランチョン発電所を相次いで視察したが、化学繊維工場の視察では「工場を補修もせず、厩舎きゅうしゃのような古い建物の中に貴重な設備を入れ、試験生産をやろうとしている」と嘆き、ジャガイモ粉工場では「技術神秘主義に陥り、経済性のない設備を入れたことで生産に支障を来している」と不満を口にしていた。

新義州化学繊維工場を視察する金正恩総書記 2018.7.

また、塩粉津ヨンブンジンホテルの視察では「組立工事が終わって6年も経つのに内装が終わっていないとはどういうことか」と叱り、保養所の視察では「風呂が非衛生的だ。脱衣場もいい加減で、換気も悪く、不快な匂いがする。これでは景色の良い場所に保養所を建ててくれた首領様や将軍様の業績を台無しにし、罪を犯すことになる」と、現地で出迎えたの崔勝男チェスンナム咸鏡北道鏡城郡党委員長に作り直すよう命じていた。

漁郎川発電所を視察する金正恩総書記

さらに、漁郎川オランチョン発電所を視察した際には「ようやく今日ここを訪れたが、言葉が出ない。17年が過ぎたが70%しか完成していない。発電所を建設する気があるのかないのか分からない」と党中央委員会経済部と組織指導部の該当指導課の責任を追及していた。

以後も不平不満は収まらず、昨年7月に両江道三池淵サムジヨン市に建てられた観光ホテルを視察した際も「発展する時代の要求に根本的に反して古くて立ち後れた基準でいい加減に施工した」と酷評し、「(建設監督機関は)深刻な欠陥を竣工検査でそのまま通過させて運営単位に引き渡す無責任な行為を働いた。

三池淵市を訪れた金正恩総書記

思想的弛緩しかんと職務怠慢たいまんがどの程度に至ったのかがよく分かる」として李順哲リスンチョル国家建設監督相と前副相の2人を槍玉に挙げ、「国家公務員としての初歩的な道徳や資格もないけしからぬ連中である」と断じ、「両人の権利を停止させ、直ちに法機関に引き渡して調査せよ」と命じていた。

自然災害での対応では2020年8月の江原道金化クムファ郡の暴風雨被害と2023年8月の江原道安辺アンビョン郡の台風被害、それに昨年8月の平安北道新義州シンウィジュの水害被害の時の叱責が強烈な印象として残っている。

江原道安辺郡の現地視察 2023.8.

金総書記は金化郡の被災地視察では「事前に住民を危険な建物から避難、疎開させず人命被害をもたらした」として江原道及び元山市幹部らを「党的、行政的、法的に厳罰に処する」と公言し、安辺郡の被災地視察では「200ヘクタールの農地が冠水するなど他の地域に比べて多くの被害を被った。

原因はこの地域の農業指導機関と党組織の甚だしく慢性化されて無責任な活動態度にある。鈍感にもいかなる対策も立てなかった」と述べ、地元の党及び行政幹部らを激しく叱責していた。

被災者を前に演説する金正恩総書記

昨年の新義州の被災地を訪れた際にも「災害防止活動に慢性的かつ観照的に対した結果、無力にも災難に見舞われる結果を招いた」として「党と国家が付与した責任重大な職務の遂行を甚だしく怠って許せない人命被害まで発生させた対象を厳しく処罰する」として、慈江道トップの姜鳳勲カンボンフン党責任書記と李太燮リテソプ社会安全相を解任していた。

南浦市の党書記は2021年に就任した李在南リジェナムで、慈江道の党書記は昨年7月に平安北道党書記から転任したばかりの朴成哲パクソンチョルである。今後、どう処遇されるのか、興味深い。

2 COMMENTS

あほくさ

“人の振り見て我が振り直せ”という言葉がありますが、他人の批判をするより、まずは自己批判でしょ。
そもそも社会構造自体に問題ありなのが、分かってないんだよね。海外に留学経験があるっていうけれど、基本的にはバカげてる社会構造を変えない限り、こういう汚職は消えないね。まず税金がない国なんておかしいでしょ。みんながお上に上納するシステムなんだから、地方に余力がないのは明らか。インフラも整備されてないのに“箱物”だけ作ってどうするんだろう。地方に回す電力も不足、資材も、お金も回さない…。これでは地方で汚職がはびこるばかりでしょ。こういうニュースを聞くたびに本当にアホ臭くなるね。

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まったく

三百歩譲って国民に向けたパフォーマンスならまだわかる。
本気で怒っているなら、どうしようも無い人ですね。スイスで何を学んだのか?(怒)

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