9月に咲く花のように

3年12班の愉快な面々 28

体育ソジョの「熱い夏」の成果は、夏休みに休まず練習に明け暮れた芸術ソジョのメンバーにも聞こえて来た。自分達も体育ソジョに負けないように最後の舞台を輝かそうと、中央大会が無いという悲しさを乗り越えて、おそらく最後の舞台になるであろう、11全大会の公演に全力を注いでいた。

民管のCFは練習に明け暮れていた。彼女は小4の時、民族楽器の魅力に魅了され、入ろうと思っていた舞踊部には入らず、民族楽器部の門を叩いた。それ以来一貫してソヘグムを弾いて来た。(注『下校時の音楽』参照)

ソヘグムはオーケストラで言うヴァイオリンである。曲中は主旋律を担当する花形の楽器である。 CFは民族の叡智が集まったこの楽器を誰よりも愛していたし誇りに思っていた。

夏休みの練習は過酷だった。屋内で直射日光を受けないとは言え、真夏にクーラーも無く、50人もの人間がひとつの部屋に入るだけでも汗が滴り落ちてくるのに、楽器を演奏するとなると、それこそサウナの中に居る様で息が詰まりそうになる。

その上、自らの楽器の音に耳を澄ませ、音は真っ直ぐ出てるか?音程はずれてないか?音質は変わってないか?等々神経を音に集中する…肉体的にも精神的にも疲れて行く。また、部の規則で制服の着用は必須だった。もう殆ど拷問に近い状態…楽器を弾いてると汗が滝のように流れてくる。

「あっち〜〜!タマラねぇな!」
「なぁプジャ〜ン!シャツ脱いだらダメ?せめてトレパンに着替えさせて。」と男の部員が哀願するが「ダメ!」の一言で終わり。女子もチョッサンが汗で濡れている。

「休憩!」と、部長が指揮棒を置いた。
CFは楽器を置き、友達と一緒に自販機でベルミーコーヒーを買って、ひとくち口に入れた。冷たく甘いコーヒーが渇いた喉を潤す。

「キャー冷たくて美味しい!」「これ発明した人にノーベル賞をあげるわ」などと言いながら少ない休憩を満喫する。

公演の本番は9/26と決まった。いよいよ本番モードに突入だ。舞台上での演奏曲目も『경축』に決まった。『경축』は民管の代表的な曲である。(注『思い出音楽』参照)

名前の如く明るく軽快な曲だがテンポが早く難しい。しかし自分達の最後の舞台を飾るにはもってこいの曲だと思った。

「今まで何回も演奏して来た曲。もっとクオリティを上げて歴代最高の演奏を聴かせよう!」と意気込んでいた矢先、またまたショッキングな話が舞い込んで来た。

「朝大も一緒に演奏する」…「えっ?朝大?何で?」ギモン、疑問、ぎもんしか起きなかった。ブラバンも神奈川朝高と一緒に演奏するらしい。

部長からその話を聞いた時は納得がいかなかったが、人数が増えれば音の幅も出るし、1年生もカバー出来るとの先生の説得に気を持ち直してまたモチベーションを上げて練習に打ち込んだ。

そんな8月の終わり、朝大との初めての合同練習があった。部室に入ると既に朝大生が来ていた。2〜30人はいるだろうか?主に弦楽器に集中してる様だった。「잘부탁하겠습니다. 」とCFが挨拶をすると朝大生も会釈して来た。

ここでちょっとした問題が起こった。楽器を準備していつもの席に座ろうとすると「トンム、そこは朝大生が座るってなってるから」と言ってソヘグムの前の席を朝大生が座ってしまった。

思えばこれがトラブルの始まりだった。仕方なく朝高生達はその後ろに座った。他のパートも同じであった。年功序列がまかり通ってた時代、年上の先輩に文句を言える者はいなかった。

練習が始まり部長が指揮台に上がった。誰であろうが指揮者に集中する事が演奏者の姿勢である。だが、あろう事か朝大生達はお喋りをやめない、笑い声まで上げる始末だ。

見兼ねた先生が「朝大生、ちょっと静かに!」と、注意した。朝大生は笑いながら首をすくめた。演奏が始まった。スローテンポで始まった曲は盛り上げながらアップテンポになるが、朝大生がついて来れない。(早いテンポにまだ慣れてないんだわ。練習すれば大丈夫じゃないかな?)と自分を納得させてる朝高生だった。

第1回目の練習は終わった。
しかし、多くの不安と不満が渦巻き前途多難を思わせるスタートとなった。

「何なの?あの朝大生。 態度も横柄だし…」先ず怒りを口にしたのはKRだった。「まぁまぁ、先輩なんだしちょっと様子を見ようよ。それより自分達の演奏をしっかりやらないと…」「でもね…なんか嫌な感じがするのよね」と普段は大人しいMMがポツリと言った。

それから何日後に2回目の合同練習があった。

練習終了後、何人かの女子が憤りながら話している。「朝大生、全然練習して来てないじゃない。」「真剣さが伝わって来ないのよ」「何より練習態度よ!このままじゃ最高の演奏どころか最低の演奏になっちゃうよ」とKRは涙目で話す。

「先生に相談しに行こうよ」とKRが声を上げると高3の女子が立ち上がった。部長を先頭に、高3全員で指導教員のC先生の元へ行った。

3 COMMENTS

暑そう☀️

朝高の吹奏楽と民管は真剣だったからね~。だいたいせめて体操着着ればよかったのにね。根性が違うんだよね今の子とは。おっとおばさんのセリフだ🤣

汗臭いチョゴリはごめんだな💦

今度は民管の話なんだね👀
そんな過酷なソージョとは思えなかったな~
せめて、大型の扇風機くらいは欲しかったね~💓OBが寄付してくれないのかな?
その朝大の民管の先輩は、朝高の先輩じゃないの?地方の先輩も混じってるのかな?

青春の汗💦

この朝大生ダメだね。実力でギャフン!言っちゃえば。
…女子の汗💦嫌いじゃないです♪

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