9月に咲く花のように

3年12班の愉快な面々 33

一時は学校をひっくり返す大騒動だった。10月からの衣替えに伴う『学生服騒動』だ。10/3(月)の朝、校門前では学生と先生の怒号が行き交った。「脱げ!」 「何で脱がなきゃなんねえんだ!」 取っ組み合いになる先生と学生もいた。

小運動会を明後日に控えたこの日、言うなれば避けては通れない、いや、起こるべくして起こった問題だった。「違反学生服の学生は教室には入れない。中体育室に集まりなさい」と4〜50人の学生が集められた。

「先生、俺達の要求は今まで通りの学生服を着させて下さいと言う事だけなんです」と代表でMYが言うと「お前達の意見は意見として報告して来る」と先生達は出て行った。暫くして学年主任の李先生が来て「お前達の意見は聞けない。違反学生服を脱いで教室に行きなさい」と言うと学生達は「ふざけんな!やってらんねぇよ」と言って憤慨して出て行こうとした。

1班の担任が両手を広げて「待て!話し合いをしよう!お前ら、運動会はどうするんだ!」と止めた。そしてMYに「出ていったら話がややこしくなるぞ!」と言ったが、MYは「行こうぜ!」と言って皆を扇動した。一同は先生の横をすり抜けて出て行ってしまった。

その後彼等は、校門横の公園に居た。「出て来たのはいいけど、どうすんだよ?」 「決まってるだろ? 最後まで戦うんだよ!」「どうやって?」「運動会の練習をボイコットするって言って攻めるんだよ」興奮している。

「MY、どうするよ?」とホG(注:面々15,16参照)が聞いた。MYは考えた末に「今日は解散して明日池袋の◯◯ボールに集合しよう!」と皆に伝えた。「ただ、問題だけは起こすなよ。俺達の要求を通す為にもな!」と念を押した。

次の日
MYとホGは赤い目をして池袋の◯◯ボールに向かった。3階のホールには既に3〜40人の学生が集まっていた。MYは集まってる皆に近寄ると声をかけた。「みんな聞いてくれ。俺とホGは昨日徹夜で考えたんだが…」ホGが続けた。「実は昨晩、李先生とムジョンがMYの家に来たんだ」

開口一番李先生はこう語り掛けた。「お前達にとってプライドってなんだ?」不意な質問にMYとホGは言葉が出ない。「じゃあこう聞こう。詰襟の高い学生服はお前達のプライドなのか?」「はい!そうです。朝高生の誇りとプライドです!」とMYは言った。

「詰襟が低くなるとプライドは無くなるのか?」「はい、カラーが高い学生服こそが朝高生の制服なんです」とMYが言うとホGも「昔から伝統のある制服です。カラーが低い学生服は朝高生の制服じゃない!」と見栄を切った。

「…」
しばし沈黙が流れた。おもむろに李先生が口を開いた。「お前達が言うプライドってそんな物なのか?たった何ミリカラーが低くなったら無くなる様なそんな安っぽい物なのか?じゃあ、学生服を着てない時はどうなんだ?プライドはタンスの中なのか?違うだろ?お前達の朝高生のプライドってそんなんじゃないだろ?大切なのはチョソンサランとしての誇りだろ?日本と言う異国の地で、色々な差別の中でも民族の尊厳と自負心を忘れない強い気持ち!これを傷つけようとする者とは最後まで戦う!これが朝高生のプライドじゃあないのか?」

MYもホGも言い返せなかった。…

「この戦いの正当性が俺達にあるのか?昨晩ずっと考えた。俺達の最後の運動会を犠牲にしてまでも…」

ホGは「学校側は、最悪俺たち抜きでもやるつもりだ。でも先生はそう言った後に、運動会のために折れてくれないか?と頭を下げてくれたんだよ…決して屈する訳じゃないけど、運動会の為にここは一旦引き下がったらどうだろう?あと今日の運動会の練習に参加したら昨日今日のボイコットはお咎め無し!と言われた。どうする?」と提案した。

「プライドは格好じゃない…か」と一人がつぶやいた。「運動会も何とか成功させないとな、最後の、俺達の運動会なんだから」「運動会のために…か」「先生がそうやって頭を下げてくれたんなら、しょうがねぇだろ」と皆賛同してくれた。

次の日、爽やかに晴れた運動場で胸を張って行進する高3男子の姿があった。運動会を控えて大きな危機を乗り越えた28期生は、いよいよ運動会へと進みます。

2 COMMENTS

痛かったよ~💦

あったね~👀 あったねぇぇ~👀 こんな事件💦
全然愉快じゃないけど、生徒も先生もピリピリしてたもんね~
頬っぺた殴られたような記憶もあるんだけど~あの先生に😢

めでたしめでたし。

どうしても最後の運動会に出してあげたかった先生の気持ちが伝わってきました💕

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