9月に咲く花のように

3年12班の愉快な面々 34

「ジャーン」「バッ!」
「ダメだ!もう一回!合ってないぞ!合わないと意味がないんだ」と先生の声が運動場に響く。運動会のメインプログラムの「대기발 」の練習だ。長さ50m、幅は1.5mの布が13枚。総勢520人!これだけの人間が心をひとつにしないと공화국기は浮かび上がらない。このタイミングを合わせている。

「ジャーン!」「バッ!」と何回も続けると腕が棒の様になる。その上音楽に合わせて波を作るので大変である。またその波は徐々に早くなるので後ろの方は吹き飛ばされる。

「ク、ク、ク…クソ、飛ばされる…」それでも踏ん張って旗を動かす。休憩時間にはついつい「あ〜…だり〜」「腕が棒みたいだよ」「これはキツイな」…弱音が出る。

それでも練習が始まると先頭に立って後輩達を指導する。各自が主人公なのだ。「先生、上手く行ったかどうかは僕らは解らないですよね?」と言うと先生は「見てる父兄の顔を見て判断しろ」と笑った。

1977年10月10日!
小春日和の秋晴れの中、運動会は始まった。各演目ごとに盛り上がりを見せて注目の全校生による集団体操が始まる。男子の棒体操、女子の扇とリングの体操、積み上げられた「해방탑 」それぞれ素晴らしい出来栄えだ。

そしていよいよフィナーレを飾る『대기발 』が始まる…「ジャーン!」とシンバルの合図と同時に誰かが叫んだ!「자 !가자!」「オー!」ありったけの声を張り上げて運動場の中央に高校生が整列した。観客は何が始まるのか期待の視線を向ける。

中学生が折り畳んだ旗を持って運動場の端っこでスタンバる。「통일렬차달린다」の音楽が鳴ると中学生達がスルスルと高校生の間を縫って折り畳んだ布を渡す。皆に旗が行き渡った…(行くぞ!)各自旗に付いた紐をしっかりと握り締める。皆が固唾を飲んで合図を待つ。(タイミングだぞ、タイミングをずらすなよ。)今、旗を握った全員の気持ちが、ひとつになった。

「ジャーン!」
(今だ!)
全員が一斉にしゃがみながら両腕を高く上げた。
「バッ‼️」
大きな共和国旗が運動場に広がった。
「ウオー!」「スゲー!」の驚きの声、「キャー」「やったー!」「キレイ!」との称賛の声があがった。

静かに「빛나는 조국」の荘厳な音楽が流れて来る。端の方からゆっくりと波が盛りあがる。

♬반만년 오랜력사 문화로 빛나라♬

大きく波打つ藍紅色の共和国旗は、今運動場の大空に悠々と羽ばたいている。彼等が中1の時、駒沢競技場でなびいた대기발が今日、高校の最高学年になった28期生達の手で東京朝高の運動場にはためいている…

「頑張れ、負けるな」歯を食いしばって旗をゆっくり揺らす。徐々に波のスピードが増して来る。身体中にかかる重圧も強まる。紐が手首に食い込み体は持って行かれそうになる。「ク、クソ、自分の位置は絶対守るぞ!」皆は力を振り絞った。曲が最高潮に差し掛かると、文字通り怒涛の勢いで波立つ대기발 …

♬조선아 조선아 영웅조선 만만세♬

波がおさまった。スタンドからは嵐の様な拍手が鳴り止まない。涙を流す一世の姿も見える。
「ジャーン!」
シンバルの合図で旗がしまわれ2度目の合図で立ち上がり、音楽に合わせて退場する学生達の表情は、やり切った満足感があふれた。

運動会も佳境に入り最終プログラム「クラス対抗リレー」が行われる…

2 COMMENTS

そして~そして~👀

ああ~こんなこともやったね~👀 必死になってやったね~👀
誰が考えたのか分からないけど~
一番先頭の人は、責任重大なんだよね~😆
そう言えば、国立競技場でマスゲームみたいのもやったよね~
昔はよかったね~💓

🇰🇵

思い出しただけで感動する。あの一体感はそうないよね😭好きだったなぁ運動会。

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