この頃のM道は今までより気合を入れて鏡に向かっていた。(何つっても女子がいるからな。男だけの色気のない生活じゃないからな〜 💗 )
共学クラスと聞いた時、顔では嫌なフリをしていたが、内心喜んでいたM道である。心ウキウキで(よ〜し、これからの学生生活エンジョイするぞ)と毎日が楽しくて仕方なかった。
ドライヤーを左手に、トン毛のブラシは右手に持ち、器用に髪の毛を整えて行く。いわゆるリーゼントだが、M道のそれはまるで「宇宙戦艦ヤマト」の様だった。鼻歌混じりに整えて「締めはやっぱりコレ、VO5ヘアースプレー 🎶 」と訳の分からない独り言を呟きながらシューッと一振りした。「ヨシッ、今日も決まったね、M道ちゃん」と言い残し鏡の中の自分にウインクして鏡の前を離れた。
電車がM道は嫌いだった。ヘアセット命のM道にとっての天敵は遠慮なく風を吹き付ける天井に設置された扇風機…出来るだけ風の当たらないドア側に陣取り、席が空いても座らない。最寄りの駅で降りたM道はいつもの溜まり場へ…
「つぼや」は朝から賑わっていた。「おじさ〜ん、この店で一番美味しいやつひとつ!」出て来たコーラを一口飲むと横から声がかかった。「おいM道、男女共学ってどうだ?女がいたら気を使うだろ?暑い時もズボン脱げないし、屁もこけないだろ?ハハハ」「別に…慣れたら何ともないよ」ムスッとした表情で答えた。
(バ〜カ、野郎だらけのむさ苦しい教室にいるお前らには解らない世界だよー)と彼ならではの優越感を味わっていた。時計を見ると8時25分。「やばっ!」走り出した。
校門をくぐり、すぐにある校舎の階段を上がる。時間は8時40分。(よかった、まだ間に合う…)教室に入るとチョゴリ姿が目に付く。「あ、M道、アンニョン!」「おはよう!M道」と去年までなかった女子の声が彼を迎える。
込み上げる喜びをグッと堪えて、わざとむずかしい表情で「おう!」と返す。45分になった。カーンカンカカン、カーンカンカカン…
さて、ここで忘れてる皆さんもいらっしゃると思いますので、時間割りを。
8:45 朝礼
9:00〜9:45 1時間目
10分休憩
9:55〜10:40 2時間目
休憩
10:50〜11:35 3時間目
休憩
11:45〜12:30 4時間目
12:30〜1:10 昼食
1:10〜1:55 5時間目
休憩
2:05〜2:50 6時間目
2:50〜3:30 掃除、終礼
3:30〜クラブ、帰宅
思い出しましたか?(笑)
さて、視線を女子の方へ向けると…
「ねぇ、やっぱり男子と居ると教室が殺風景よね」と大人しいが芯のあるS子が言った。するとNMが「アイツらガサツなのよね!中学の時はあまり感じなかったけど、男子って…」と周りを見回して小声で「ちょっと臭うのよね〜」
その視線の先にはM道が。
「プッ!」「キャハハハ!」M道は手鏡を見ながら髪の毛を直していたが、女子の視線が自分に向いてると気付き、妙に緊張した表情になる。(何かウワサしてるのかな?)と素っ頓狂な想像をする。
活発なNMが「じゃあさ、この殺風景をどうする?」と問題提起をすると、ロング大好きなEスが「Y子、何か良い案ない?」とバレー部マネージャーから一転して合唱部に入ったY子に振った。「そうねー、Mリ〜何かない?」「うん、一番解りやすく行きますか?」と笑いながら言った。
次の日、皆が登校してくると教室の雰囲気が…窓にはカーテン、壁には朝鮮タペストリー、可愛らしい壁時計、良い香りの芳香剤…実は放課後、クラブ活動のない何人かの女子で、十条銀座で購入して来たのだった。
「あれ?雰囲気変わってねぇ?」「なんか良い匂いするな」と「ガサツ」な男連中は口々に話した。
活発なNMが言った。「あとは男子でやってね!ファンシーケースとゴミ箱は注文してあるから取りに行って、掃除道具のロッカーは中を掃除してあるから、ベランダに出してね。」と仕切った。男子は文句を言おうにも、何を言えばいいのか分からず「わかった」と返すのが精一杯だった。
やはり女子がイニシアチブを握るみたいだ…
普通の日常ですね👀 特に愉快なところも無く、普通の学生生活です😊
どこかで愉快な事件でも起きるのかな?
それで~? それで~?
おーーっ、この回で28のシンボルの様なあのイラストが出てくるんですね⁉️