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3年12班の愉快な面々 42

Sスは以前にも増して勉強漬けの日々を送っていた。大好きだったサッカー部も辞めて勉強に打ち込んで来たのは、目標とするW大の法学部に入学して弁護士になること。その成果を試す日が目前に迫って来る。学校側はうるさい中では勉強に集中出来ないだろうと、彼のために「LL教室(視聴覚教室)」を解放してくれた。 Sスは静かな環境で勉強が出来た。

試験日は2/15。科目は選択制で3科目だ。試験日が近づくにつれSスは平常心を保つのに苦労した。勉強をしながらも失敗したらどうしよう?全然知らない問題が出たら?勘違いして違う答えを書いてしまったら?…と不安は尽きない。でも(今更ジタバタしても始まらない)と開き直った。やはり肝が据わってる。

いよいよ試験当日。朝の食卓にはトンカツが並んだ。「ゲン担ぎよ!試験に勝つ!ね」とオモニが笑いながら言った。Sスは「ありがとう」と笑った。2時間後、W大の前に立ったSスは大きく深呼吸をして校門をくぐった。

その日の夕方、試験を終えたSスが出て来た。手応えを感じたのか、やり終えた充実感からか彼の顔からは満足の笑みが見られた。

運命の試験発表の日…
前日から落ち着かない家族を見ながらSスは「本人は落ち着いてるのに、何でそんなにそわそわしてるの?」と他人事の様に話す。「そうだな、ははは。おいオモニ、コーヒーの味おかしいよ。塩入れたの?」と言うアボジが持ってる新聞は逆さまだ。

「さぁ、早く行って結果を見て来なさい、ちゃんと電話するのよ」とオモニが急かした。「うん、わかった」と言ってSスは家を出た。

初めは落ち着いていたSスだが、大学が近付くにつれ段々と鼓動が激しくなって来た。(こんなに胸が高鳴るのはあの時以来だな)とSスは何ヶ月も前のス◯との出来事を思い出していた。

高田馬場駅を降りて大学に向かおうとした時「Sス!」と呼ぶ声が聞こえた。声のする方を見るとHソン、Mリ、Gチそしてス◯が手を降っている。「12班のみんなが気になってしょうがないから代表して待ってたんだよ」とHソンが言うと「さぁ、いこう!」とMリ、ス◯はSスの両脇を抱えて歩き出した。

不安な気持ちも吹っ飛んだ。そして心強くありがたかった。
「どうだ?自信の程は?」とGチが聞くと「やるだけやったから…」と控え目に答えたが目には自信が見て取れる。4人は頼もしげにSスの顔を見つめた。

発表の番号が書かれた掲示板の前はすでに人だかりが出来ていた。「どうする?不安なら見てこようか?それとも自分で行くか?」とGチが言うと「いや、折角来たんだから一緒に見ようよ」とSスは皆を促して掲示板に向かって歩き出した。「へぇ、強気だね〜」とMリは微笑んだ。「で、受験番号は何番なんだ?」「110928…だよ」

掲示板の前は、受験生達の悲喜こもごもがある。「やったー」「バンザ〜イ」と喜ぶ人、うつむいて肩を震わす人、友達に肩を叩かれて慰めてもらう人…そんな受験生を横目にSス達は掲示板の前に立った。皆は番号を目で追う。

110920、23、25、27…
「あった110928、110928!あったー!やった!おめでとう!」「キャ〜!あったあったあった〜!Sス!やったね、おめでとう‼️」4人はSスを囲んで飛び跳ねて喜んだ。そんな友達の顔を見てSスは、合格の喜びは勿論そうだが、自分の事の様に喜んでくれる友がありがたかった。

高田馬場駅の公衆電話で家に合格の報告をすると、電話の向こうの家族の狂喜乱舞が聞こえた。Sスは家族にお礼を言って電話を切った。「どうするSス?学校行く?それとも静かに喜びを噛みしめるか?」とGチはス◯の顔をチラリと見て言うとSスは「学校は明日行くよ。今日は…」と言って下を向いた。

「わかった。先生とみんなには伝えておくよ。とにかく、おめでとう」Hソン達は握手をして別れた。「あ、ス◯は用事があるんだよな。気を付けてな」とGチが言うと「あ、そうね。ス◯明日ね」とMリも手を振る。「え?ス◯何か用事があるの?じゃ皆で付き合おうよ」とHソンが言うと「いいんだよ。ほら学校行くぞ」とGチがHソンの背中を押した。

2人は肩を並べて近くを流れる神田川沿いを歩いた。「でも本当に良かったね、合格して。」自分が決めた目標を努力で掴んだSスが眩しかった。Sスは「ス◯も…聞いたよ。歌劇団の入団が決まったって…凄いな。おめでとう」と言った。Sスも努力の末に目標を達成したス◯を凄いと思った。

川のせせらぎが静かに聞こえる。2人でこうして歩くのは初めてだ。Sスはチラリとス◯の顔を見た。綺麗に整った顔がキラキラ輝いている。知らずに胸が高鳴って来た。(いま言おうか?でも、断られたら…いや、いま言わなかったらきっと後悔する)

ス◯はSスと並んで歩き始めた時から胸がドキドキしてどうしようもなかった。(これってデートみたい…)と思い1人顔を赤らめたりした。そんな時Sスが急に立ち止まった。

ジ~ッとス◯の顔を見て言った。「ス◯、合格したら言おうと思ってたんだけど…」と言うと下を向いた。「はい…」思わず答えたス◯は胸が高鳴りすぎて息苦しい。「俺、ずっとス◯の事が…そ…その…す…好きだった。よかったら、つ…付き合ってくれないか?」

「え…」ス◯は初め意味が掴めなかった。ただSスの真剣な、そして恥ずかし気な表情を見て、ようやく意味がわかった。嬉しかった。

ス◯は下を向いて小さく頷いた…

さて将来の大きな目標を努力で掴んだ2人…そしてそんな2人だからこそ惹かれあい、恋愛に発展したのも必然ですね。さぁ、いよいよ卒業です…がここで…
さすがは面々。タダでは終わらない。笑

2 COMMENTS

東天紅まで終わるの?

W大に合格して、告白も成功して、彼女もできて~
もう出来過ぎた青春じゃない~💓 オレなんか~オレなんか~😞
まぁ~オレなんかどうでも良いけど、そしてクライマックスはどうなるの?
やっぱり最後はどんでん返しかな?

ファンタジー💕

「人生はそんなに甘くないよ🤭」
と、未来の自分に言われるってオチにして~。
韓国ドラマ見すぎてファンタジー感が抜けない🤣

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