手足の壊死や多臓器不全を引き起こし、ショック症状から死に至ることもある危険な感染症がいま過去最多のペースで急拡大している。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」いわゆる「劇症型溶連菌」だ。
新型コロナウイルス感染症が、昨年5月に五類感染症へ移行し、マスクや手洗い などが自己判断に委ねられ、人との交流も行動範囲も広がった。その結果として増えたのが別の感染症だ。その一つ「 A型溶血性レンサ球菌咽頭炎」は、昨年秋以降、例年を上回る患者数になっている。
この感染症は子供に多い感染症で、喉の痛みや発熱、イチゴのように舌が赤くなるなどの症状が現れる。中には関節の腫れや痛み、心臓に病変が及ぶリウマチ熱への移行や、腎臓に炎症が生じる糸球体腎炎などの合併症になることもある。
さらに怖いのはA群レンサ球菌による「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」だ。このA群溶血性レンサ球菌は口の中にいることがあり、小児では2割程度、成人では 2〜3%程度にキャリアが存在するとされている。保菌していても必ず咽頭炎などの症状が出るわけではないが、感染症になると、人体に悪影響を及ぼす複数の種類の毒素や病原因子を生み出し、劇症型のような症状を引き起こすことがあるのだ。
不思議なのはA群溶血性レンサ球菌から咽頭炎になっても、劇症型へ移行することはほとんどないのにも関わらず、いきなり劇症型に発症することがあるから怖い。でもその原因はよく分かっていない。
劇症型の患者さんの約4割は、打撲や小さな傷口をきっかけに発症するという。足や腕をぶつけた時に、血中にたまたま存在していた菌が、打撲部の深部の組織に付着、もしくは皮膚に付着していた菌が傷から侵入して、何らかの条件が揃うと、強い毒性を発揮すると考えられている。
このA群溶血性レンサ球菌が、何らかの原因によって毒素を出し始めると、筋肉などの深部組織にダメージが起こる。静脈や動脈などの血管がつまり、組織の壊死が進行するのだ。菌を食べて排除してくれるはずの白血球も、このA群溶血性レンサ球菌によって抑制されることがあり、急速に炎症が進んでいく。
このA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者は、昨年の8月頃から増加し、12月中旬には過去6年の同時期と比較して最も高い値になった。患者数が増えているのは世界的な傾向になっている。
こんな恐ろしい劇症型溶連菌だが、防ぐ手立てはないのだろうか。
まずは日頃からの手洗いや、必要に応じたマスクの着用が大事だ。人が大勢集まるところではマスクの着用を考え、喉が痛いなどの症状がある時には、積極的にマスクをつけよう。
傷は水道水で綺麗に洗って、適切に処置をする。 そして万が一、感染が疑われる時には次の3点を注意するように呼びかけよう。
- 38度以上の発熱(咳は無し)
- 強い喉の痛み
- 首の腫れ
このような症状が見られる時には、早めに近くのクリニックで受診をすることだ。A群溶血性レンサ球菌はインフルエンザのような簡易検査で診断が可能だ。 劇症型の場合は、症状が多彩なので一概に言えないが、打撲した後など四肢の痛みが激しく、急速に体調不良になるような時には、すぐに近くの内科で受診をしよう。
またA群溶血性レンサ球菌には「ペニシリン」という古いタイプの抗生物質がよく効くという。しかしこのペニシリンも、供給不足が深刻になっているという。ジェネリック医薬品メーカーの不正に伴う業務停止などで、様々な抗菌薬の供給不足 が起こっている。
残された人生、何があるのかわからない。 少し調子が悪くなったら、すぐ医者に診てもらうことを おすすめしたい。
怖い😱細菌だね🦠
徹底的に消毒してますが、うがいも効果あるんですね。