今日は納棺の日。納棺とは亡くなった人を棺に納める儀式だ。通常はお通夜を行う数時間前に行うのが通例とされているが、季節柄すぐに納棺をしないとどんどん遺体の腐敗が進むとのアドバイスがあり、翌日に行うことになった。
その日アボジは病院に診察に行く日だ。納棺の時間と重なったので、兄がアボジを病院まで付き添い、その間に納棺をすることになった。しかしオモニも一応、女性なので、納棺は姉たちに任せることにした。
オモニは、自分が旅立つ時のことを考えて、生前に薄いピンクのチマチョゴリを死に装束として準備していた。
これは納棺に立ち会った姉の話であるが、納棺に現れた納棺師は30代後半の女性であったという。見た目は若くて頼りなげな人に見えたが、納棺の所作がまるで映画の「おくりびと」をみているようだったと絶賛していた。
アルコールを浸したお湯を、ガーゼなどに含ませて全身を拭き清め、遺体の向きを変えながら死後硬直で固まった腕にチョゴリを通して着せる技術はまるで映画のワンシーンだったと言う。
出っ歯で開いたままのオモニの口も、きれいに閉じていたのにはびっくりしたが、後で聞いてみると薄いピンク色の瞬間接着剤のようなものを唇につけて唇が開かないように何度も何度も唇を押さえていたと聞いた。オモニが生前愛用していた化粧品を使ってきれいにお化粧もしていた。
病院の診察から帰ってきたアボジは、オモニが入っている棺桶と、化粧を施したオモニを見て少し安心したようだった。
昼間は兄弟や孫たちが訪ねてきては、お線香をあげ、ワイワイガヤガヤと騒いでいたが、夕食後は兄弟や孫たちも帰り、広い部屋には私とアボジだけになった。
ろうそくと線香の火を消し、電気を消して引き戸を閉めようとしたところ、それを見ていたアボジは私に言った。
「この棺は誰だ?」
「オモニの棺でしょ! ここには亡くなったオモニが入っているんだよ」
アボジはまだ、オモニの死を理解できていないようだった。
アボジも認めたくないんだね💦悔しいんだろうね~😞
しっかり寄り添ってあげてください👏
辛い話しです。いつも隣にいたオモニが居ない時にふと思い出す時もあるんでしょうね。いいえ、あると思います。