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【スマホ小説】ボス 17

(何であんな事言ったんだろう?韓国のトップスターが…)オギはハヌルが最後に言った言葉が耳に残っていた。(これからもよろしくね…って事はまた会う機会があるよって事なのかな?)感受性の高い思春期の女子である。様々な想像が頭をもたげては沈んで行く。

韓国のトップスターである。(そんな彼女がなぜ?ま、まさか…アッパに気があるとか?まさかね〜…でもそうだったら…結婚とかになったらどうしよう?)オギの中で妄想は膨らんでいった。(これは確かめなくちゃ…)と立ち上がった。

リビングに入ったオギはソファでくつろぐボスの隣に座って「アッパ、ハヌルさん綺麗だったね。ちょっとオンマ似だし…」と何気なく話しを持ちかけた。「そうだな、女優さんはやっぱり綺麗だな」とオギを見ながら優しく微笑んだ。屈託のないボスの笑顔を見ると次の言葉を掛けにくかったが、意を決して話しかけた。

「何かさ〜ハヌルさん、アッパに気があるみたいだったけど…」声が震えている…オギは恐る恐るボスの顔を見た。「ハハハ…韓国のスターが、しがない40過ぎのBARのマスターに気がある訳ないだろ?そんな事ないよ」と笑顔でオギを見た。

「ウン…」オギはちょっと拍子抜けする反面ホッとした。(よかった…)

ボスはパソコンの前に座ってこの頃流行り出したインターネットを見ている。「アッパもパソコンに慣れないと原始人になっちゃうよ。今はインターネットで世界中の情報が解る時代なんだから」と娘のオギに言われ、ネットを見る様になったのだった。

とは言え、昭和生まれのボスにとって、パソコンは中々の強敵だった。両手を使ってまるでピアノの様にキーボードを叩くオギを横目に人差し指でキーをひとつひとつ叩いて行くボスの姿は滑稽だった。

「ふーん、金ハヌルさんは俺より一回り下なんだ。と言うと今29歳か〜…もっと若く見えるけど」と1人ぶつぶつ言っている。画面にはハヌルの眩いばかりの笑顔や映画の場面、綺麗なドレス姿やチョゴリ姿がまた、歌手としての彼女の姿が映し出されていた。

(本当に韓国ではスターなんだなぁ。そんな人と…)と改めてハヌルとの楽しかった時間を思い出して微笑んだ。(でも、もしかして本当に俺の事を…)と思いを巡らしたが首を振って(いやいや、あり得ないだろ、そんな事)と即座に否定した。記事には彼女の生い立ちから現在までの過去の恋愛事情やスキャンダルも載っている。

最愛の妻ヒャンが不慮の事故で亡くなって早6年…その間、特に異性に対して特別な思いを持った事はなかった。新しい仕事に着いて、慣れない客商売に馴染むため必死に努力をして来たボスにとって、恋愛などをする余裕などなかった。

また、オギを立派に育てる事が亡くなったヒャンに報いる事だと毎日をガムシャラに頑張って来たのであった。ボスの中では未だにヒャンは恋人であり妻であり、オギのオンマなのであった。

ハヌルの登場はボスにとって小さなさざなみを起こしたが、大きな波には至らなかった。今はまだ…

        続く

1 COMMENT

恋バナ

オギに「しがない男」って理解できるのかな?
でも、人気女優のハヌルからモーションかけられたら、こりゃ~ しがないボスでも、自分から積極的にならないと~ あとあと後悔するよね~😞
もう千載一遇のチャンスだぞ~ ボス! がんばれ~って、自分の事のように応援しちゃう~🙌
んで? んで? 続きは???

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