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【スマホ小説】ボス 36

ソウルの中心に近いKホテルで会見は開かれた。一番大きな会場を指定したのは、出来るだけ多くのマスコミを呼んで、一気にスキャンダルを消してしまおうと言う事務所側の意図があった。広いが殺風景な会場の前面に舞台が設けられ、テーブルとその上にマイクが置かれた。一番広い会場だったが、テレビカメラが10数台、そして数十人の記者達でいっぱいになった。

「只今19時になりましたので会見を始めさせて頂きます。質問はフリーですが、内容が重なる質問は避けて下さい」壇上にハヌルと社長、そしてチが上がった。たちまち無数のカメラのフラッシュが焚かれた。社長がマイクを握った。

「この度は世間をお騒がせ致しまして、誠に申し訳ございません」と言うとチとハヌルが立ち上がり3人で頭を下げた。社長は経緯を説明した。一時的に落ち込んで気持ちを落ち着かせる為に仕事を休んだ。記事になった男の人とは何の関係もない。ちょっとした知り合いでそれ以上ではない…。

社長の説明が終わり質問に入った。一斉に手が上がったが、社長は敢えて「ショック」のミスを指名した。騒動の火付け役となった記者である。他の記者も興味を持って聞いている。

「先ず、金ハヌルさんに対する業界と言うか、テレビ、雑誌だけではなく、御社のホームページ上にまで嫌がらせがあったと聞いています。それは事実でしょうか?」と、いきなり聞き辛い質問を投げかけた。暫く考えた社長は「敢えて否定はしません。実際、主演映画は降板になりましたし、当社のホームページのコメントは…皆さんご察しと思います。しかしこの事に対して当社が何かをした事はありません」「当方が掴んだ情報ではその嫌がらせに耐えられなくてハヌルさんが失踪したそうですが?」3人は何も言わなかった。

「わかりました。では、あの男性とはどんな関係なんですか?」チが答えようとするのを遮ってハヌルがマイクを持った。「少し前の日本での試写会の主催者の紹介でお会いした方です。その時…ちょっと迷惑をかけてしまって、その謝罪も込めてこの度お詫びに行った次第です」「お詫びをするのに家に泊まったんですか?」鋭い質問が来た。

「後から来るマネージャーがホテルの予約を忘れて…と言うのも私が独断でいなくなったので、彼女も動転してとれなかったみたいです。マネージャーも一緒に泊まったので何もやましい事はありません!」「するとその人は恋愛相手ではないとそう仰るんですね?」記者のしつこい質問が入った。

ハヌルは言葉に詰まった。恋愛相手ではない?本当に?…すかさずチが「あの方はハヌルとは歳が一回りも離れてます。既婚者ですしあり得ません」とキッパリ言った。


「何とか大きな峠は越えましたね」会見を終えて社長室で社長は安堵したようにタバコを吸いながら話した。しかしチはハヌルに向かって一言言った。「ヒャンあなた、何で恋愛相手ではないとハッキリ言わなかったの?」と追及した。ハヌルはチの目を見て無言で下を向いた。

しばし沈黙が流れた。「まぁまぁマネージャーも落ち着いて。ハヌルも事の重大性は解ってるから、バカな事はしないでしょう。それより、これからしっかりと仕事をしないとね」と壁のスケジュール表を見上げた。

しかしこの騒動、思いがけない展開を見せる…

続く

1 COMMENT

ふぁらん

ハヌルのボスに対する気持ちが垣間見えちゃいましたね~🤦‍♂️
「ショック」のミスは、たぶん~そんな細かいところを見逃さないだろうね~😆
ボスの周辺調査に取り掛かるはず~💦
んで? んで? あの逆玉のチンケな男の登場ですか? 

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