昨年、4.24教育闘争70周年を記念して制作したドキュメンタリー映画「ニジノキセキ」が南北朝鮮半島の映画祭でそれぞれ賞を取りました。この映画を制作した박영이監督は、神奈川朝高、朝鮮大学校政経学部を卒業し朝青イルクンを経て映画の道に進んだ、今最も期待される在日同胞の1人です。
パク監督に簡単なお話を伺いました。
― 昨年、南北でそれぞれ賞を獲得しましたがご感想は?
長い間、南北が分断されている状況の中で<在日コリアンとしてできることは何なのか?>ということを常に意識しています。映画というひとつのコンテンツを通じて南北コリアの人々が繋がる機会を作れたことをうれしく思っています。
また、朝鮮学校の話は南北海外多くの同胞に通じる話であるという確信が持てました。
― 映画監督になろうと思ったきっかけは?
学生の頃は全く縁がなかった分野でしたが、20代の頃、地域のイベントで映像演出を手掛けたことが大きなきっかけとなりました。独学で始めましたが限界を感じて、30代になって新たなチャレンジをしようと決心して映画学校に通い本格的に映画制作を始めました。
― ズバリお聞きしますが、一番影響を受けた映画は何ですか?
一番を決めるのが難しいのですが、韓国映画の「オールドボーイ」でしょうか…邦画なら「パッチギ」洋画なら「インセプション」です。
― 監督にとって理想的な映画とは?
個人的に退屈な映画が嫌いで、テーマがどうであれ楽しめる作品であることにこだわりたいと考えています。
― 박영이監督が今、一番作りたい映画は何ですか?
数年間ドキュメンタリーをやってきたので、長編劇映画にチャレンジしたいと思っています。在日コリアンとしてのテーマはこれからも追求していきたいと考えています。ジャンルとしてはコメディが一番興味あります。
―「パラサイト」のアカデミー賞について思うことはありますか?
韓国映画の質の高さは随分前から世界レベルになっていたので、そう言った意味での驚きはなかったのですが、米国的価値観の牙城でもあったアカデミー賞を受賞したという意味ではとても驚いています。拡大解釈かも知れませんが、産業革命時代からの欧米文化時代からアジア時代への転換期のひとつの象徴とも捉えることができるのではないでしょうかね。
忙しい中、真摯に答えてくれる礼儀正しい青年です。今後とも応援してます。ありがとうございました。
監督作品受賞歴
2010年 福井映画祭 短編部門 最優秀賞「纏う」・ピョンヤン国際映画祭 構成賞 「未来を諦めなかった人たち」
2016年 ダラスアジアン映画祭ドキュメンタリー部門 最優秀賞「蒼のシンフォニー」
2019年 DMZ国際ドキュメンタリー映画祭 ADF文化賞「ニジノキセキ」・ピョンヤン国際映画祭 審査委員特別賞「ニジノキセキ」
素晴らしいですね。
彼は学生時代はそんなに芸術に関心がある様には見えませんでしたが、まさか映画監督になるとは思いませんでした。
朝高出身らしい目線で現在の朝高生を優しく描いてます。
一見の価値あります。
機会があれば是非見て頂きたいですね。
今後の彼の活躍に期待してます。