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介護のジカンー姑編⑪

ある日、姑の部屋のドアを開けると見知らぬ人が3人部屋に上がり込んでいた。姑はどこから探してきたのか、昔の女盟時代の名刺を3人に渡し、湯飲みにお茶ならぬコーヒーの粉を入れて出している。お湯は入っていない。火事防止のため、姑の部屋では火器を一切使えなくしてある。あるのは湯沸かしポットのみ。コーヒーの粉は夫や小姑が来た時に自分たちが飲むために置いてあったのだ。

私:あなたたちは誰ですか?
男1:あ、あの〜娘さんですか?
私:嫁ですけど、どなた?
男2:新聞の勧誘で来たんですけど、上がれとしつこく言われて…
私:それで?
男1:帰ると言ってもなかなか帰してもらえなくて…
私:契約は?
男2:はい…それが…
私:契約したんですね?紙を見せてください
男2:…これです

契約の紙には部屋の住所と姑の名前が書いてある。ただ姑は既に文字を忘れてしまっているのだ。
私:これってあなたたちの誰かが書いたんですよね?
男たち:…
私:こんなことやっていいんですか?
男3:おばあさんが書いてくれと言うので…
私:これって違法じゃないんですか?
男2:決して違法ではありません
私:じゃあ警察に聞いてみますけど
男1:これはなかったことに…
私:当たり前でしょ。さっさと帰ってください

男たちが立ち上がって玄関へ向かうと、姑が急に私を呼んだ
姑:あんた、あの人たちにタクシー代1万円渡しておいて
私:は~?
ボケても見栄は健在のようだ。
無性に腹が立ってきた。「もういい加減にしてよ」と言いたいが、言ってもムダだよね。「ハンメに悪気はないって知ってるから許すよね~」と自分に言い聞かせる。

ちなみに、この調子で5大紙すべての新聞社と契約を結んだ姑。訳を言って解約してもらったが、産経だけは景品を返せと言われて弁償したのだった。何ともセコい新聞社である。