【投稿】猫と鳥と花…至極のひととき

庭の草むしりをしていた時、微かな気配でテラスを見るとサッシが細く開いている。つい先ほど家の中に入れたはずの猫がこじ開けたようだ。 慌てて鰹節の袋とリードを取ってきた。 

いた、いた。近所の駐車場の一角で、何かの匂いを嗅いでいる。少し前に通ったブチ猫の匂いだろうか。いつもはすぐに逃げようとするので、決して慌てずにそっと近づく。今日は夢中で匂いを嗅いでいたので、鰹節でつらなくてもすぐにリードがつけられ、ほっとした。

かつて、鍵をかけ忘れたサッシから猫が出て行ったことがある。なかなか帰ってこず、心配で近所を探し歩いたが、猫も外界は不安だったらしく、薄暗くなった頃、自ら帰ってきた。 喜びと安堵で、鰹節を大盤振る舞いしたものだ。

動物愛護センターから譲り受けて10年。 当時は2キロだった体重も5キロを超えた。 亡き夫とは仲良しで、二人でいつもじゃれあっていた。今は私が猫の相棒だ。

天気が良いと、二人でテラスで日光浴。その間にブラッシング。たまった真っ白な抜け毛を、庭木に取り付けた巣箱に入れたら、シジュウカラが住み着いた。

テラスを動き回る猫が、リードの長さ以上は近づけないことをシジュウカラも承知のようだ。

猫と鳥と花、至福の時だ。冬、ストーブをつけると、前に陣取り、自由自在に体をくねらせてゴロゴロする。その様子がまことにおかしい。撫でてほしい時は、じっと私の顔を見る。

猫10歳。人間で言えば56歳ほどか。 猫を残して逝くことは私にはできない。