【投稿】韓国で急速に進む少子化

韓国の少子化が止まらない。 1人の女性が一生の間に生む子供の数を示した合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産むとした時の子の人数)は2022年に0.78 を記録した。 少子化に悩む日本の1.27 程度を大きく下回り、世界最低の成績になった。

世界的にも合計特殊出生率は、先進国を中心に下がってきており、少子化がもたらす成長率の鈍化や高齢化問題は、各国政府の主要課題と認識されてきた。中でも日本は、世界で最も急速に少子高齢化が進行し、最近まで高齢化問題の代表国とされていたが、韓国と比べると状況はまるで天国のようだ。

韓国の急激な少子高齢化は以前から予見されていた。晩婚化、育児のしにくい環境など、日本や他の東アジア諸国でもよく見られる共通の問題が主な要因と作用する一方、韓国だけが持つ特殊な事情もあると考えられる。

少子化の主な原因として指摘されているのは「結婚してから子供を産む」という風潮だ。結婚せずに子どもを産む家庭の割合は2018年時点で韓国は2.2%、日本は2.3%と、韓国は最下位、日本は下から2番目という極めて低い水準だ。

韓国では子供1人当たりの大学卒業までの養育費が3億から4億ウォン かかるとされる。例えば 小学生ならテコンドーやピアノ、水泳、絵画などの習い事に加え、英語や算数、論述などの塾に通う。 2〜3カ所に通うのは当たり前で、小学生から大学の医学部を目指す塾もある。熾烈な受験競争は小学生から始まっているのだ。 そして保育園は 比較的遅い時間まで子供を預かってくれるが、小学校は下校時間が早く、習い事や塾に通うのにしても、親や親に代わる誰かの手がかかる。

結局、手のかかる小学生の親の働き方について、韓国はあまり配慮されていないのが現実である。

また晩婚化が進んでいるのも 少子化の要因の一つだ。 韓国統計庁によると昨年40〜44歳の女性の婚姻件数は1万949件で、20〜24歳女性の1万113件を上回った。 

こういう状況下で、韓国の少子化はまだまだ下がる傾向にあるという。 それは若者が子育てできるほど安定的な食を得るのが難しいことが掲げられている。就職できない若者や不安定な非正規職の若者も少なくないのだ。

一方では物価が上がり続けており、特に物価上昇率が大幅に上がっている。それに加え「ソウル一極集中」で多くの若者がソウルで働こうとするが、ソウルの家賃が高く、結婚・ 出産どころか、日々の生活を維持するのがやっとという若者が少なくない。

さらに男女格差の問題もある。 特に昇進は男性に比べて女性が不利な場合が多く、この点においても不満が大きい。 結局、出産・育児で共働きの一方が辞めざるを得ない場合、男性よりも賃金の低い女性が辞めることになり、会社内でも家庭内でも女性が不満を募らせるのだ。

韓国政府は将来の労働力不足に備えて、外国人労働者の受け入れを本格的に進める予定だ。 日本で新設された出入国在留管理庁も、先行事例として参考にしているという。

急激な少子化で「待ったなし」の状況に陥った韓国。 教育費の負担や晩婚化、首都一極集中、男女格差など同じ課題を抱える日本にとっても、韓国の状況は近い未来に起こるかもしれない。