【書籍】「世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考」

この頃はこのブログに掲載される、歴史上の人物についての記事を読ませていただいた。とても参考になるので投稿してくる同級生には是非シリーズ化をお願いしたいところです（笑）

さて先週の土曜日に「ロンドンブーツ1号2号 田村淳のNewsCLUB」というラジオを聴いていた。ちょっとそのラジオの中で面白そうな対談があったので書店に行き本を手にした。

「世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考」深井龍之介著という本だ。

生き方も悩みも多様化している現代社会で私たちは生きているが、今の尺度で考えることって本当に正しいのか？　そんなことを考えさせてくれる本でした。

本では歴史上の「偉人」と呼ばれる人物たちの人生に焦点を当て、現代の価値観や常識から考えると、必ずしも「偉人」ではなかったことを語っています。たとえば現代の日本社会において、お金を稼げることは「いいこと」とされていたり、性的少数者の権利が注目されているとはいえ、男性は女性を、女性は男性を好きになることが「普通」とされています。

でも現実の社会は、「いいこと」や「普通」から外れている人はいるし、そういう人たちこそが悩んでいるという側面もあるでしょう。つまり悩みの原因は、社会にある常識や価値観だということを著者は歴史から語ります。

社会の価値観は変わる

キリスト、イスラム、ユダヤ教以外の国では、男性同士の同性愛は比較的寛容だったと著者はいいます。戦国時代には戦場に女性を連れていくことはできなかったので、男性同士の性行為は認められていて、戦国に活躍していた有名武将も男性にあてた恋文が発見されていたり、小姓と呼ばれる美少年などは夜のお仕事専門の武将だった。

ところが西洋の文化の波が押し寄せてくると、いろいろな価値観や常識が西洋化して変わっていくことになる。その結果、私たちの「当たり前」も変わってしまうーー。そういうことが近代から現代において起きています。

ガンジーは非行少年だった

ガンジーは結構裕福な家で育ちましたが、ヒンドゥー教徒である彼も、若い頃は使用人からタバコをくすねたり、英語を勉強しにイギリスに留学すれど、ほとんど話せずにいたとのエピソードは、ガンジーも昔から天才ではなかったことを物語っています、晩年は「性欲の抑制」の修行といって孫娘と裸で寝たり、現代の常識ではドン引きされそうな事をしています。

聖人とか、偉人と言われ「非暴力主義」で名を馳せたガンジーですが、彼が有名になったのは晩年になってからのこと。まあ歴史上そういう人物はたくさんいましたよね。

「稼ぐ人が偉い」のも最近の価値観

「お金を稼げる人が偉い」という価値観もまた絶対ではなく、あくまでも現代の資本主義社会のなかだけで通用する価値観にすぎないと著者は言います。たとえば江戸時代の日本だと、お金を稼がない公家や武士が偉いとされていました。またキリスト教的な考え方が支配していた中世ヨーロッパでは、他人の偉さは信仰心の深さで決まりました。

現代の資本主義社会では、お金を稼ぐことが重要な意味を持っていますが、でも落ち着いて考えてみると、お金で買えないものは無数にあることもわかってくるはず。

倫理観と価値観は分けて考えよう

本で著者が伝えようとしているのは、さまざまな価値観が「社会に規定されたもの」であることを忘れてはいけないということ。ある価値観が存在する事実を「認める」けど、その価値観を「絶対的な善と考える」ことは区別しなければいけないと著者は言っています。

そう思うと歴史上にはたくさんの頭の切れる人や優れた人格の人がいて、あなたが今、直面しているような問題にはすでに昔の人が答えを出していたり、重大なヒントを残していたりする。

そして歴史上の天才や偉人の評価はその人の死後、何十年から何百年も経って評価されるんであって、生きてるうちに天才だ、偉大だ、すごいなんて言っている人物は、チンケな人間に見えてきます。

ちょっと人生にお悩みのあなた、少し骨休めにこんな本を購入してみるのもいかがですか。

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