春のうららかさを感じよう

介護のジカン―姑編①

私は7人兄弟の長男の嫁である。認知症の父を看取ってから数年間は仕事に明け暮れていた。そんなある日、祭祀の準備のため夫の実家に行くと姑からすごい剣幕で叱られた。

姑:あんた、シアボジの祭祀なのに何してたの!息子も誰ひとり来ないで、まったく…とっくに終わっちゃったわよ!
私:え?祭祀は今夜のはずでは?
姑:アイゴー、シアボジの祭祀ぐらいちゃんと覚えておきなさい!ホントに困った嫁だよ。
私:…
祭祀は確かにその日の晩なのである。座卓の上にはろうそくと空の皿が並べられていた。

実は、私は数か月前から姑の異変を感じていて、うちの近くに越してこないかと遠巻きに話していた。
私:オモニ、そろそろ長男の家の近くに引っ越してきませんか?のどかでいいですよ
姑:あんな田舎に住めるわけがないでしょ
私:オモニももう年だし、独り暮らしで困ることも多いでしょ?
姑:そんなに年寄り扱いしないでよ!
私:…
この時は強く否定されたが、姑がおかしいのは明らか。

姑の機嫌を取りながらどうにか準備を済ませてその晩の祭祀はことなく済ませたのだが、姑の様子がやっぱりおかしい。
私:アッパ、ハンメおかしいよ
夫:何が?
私:今朝来たら、空の皿を並べて1人で祭祀を済ませてて、誰も来ないって怒ってた
夫:単なる勘違いだろ
私:違うよ。もしかして認知症じゃない?
隣で聞いていた義姉が眉を吊り上げて怒り出した
義姉:あなた、ひどいことを言うわね。オモニをバカにするにもほどがあるわよ私:…
義弟たちも私をにらむように見ていた。