【健康】突然起きる激痛の正体は「石」が原因かも

先日、私の知人が尿路結石の手術に踏み切った。結石があると初めて診断されたのは50代後半の頃だそうだ。腰の辺りの猛烈な痛みで、目が覚めるほど痛いのだそうだ。以来、激しい痛みに襲われたり、結石が自然に排出されて痛みが和らいだりするのを繰り返しながら、だましだまし付き合ってきた。

その間は血尿が出たり結石で尿管が詰まり、尿が出なくなったりすることもあったが、手術はしなかった。しかし我慢にも限界があり、今回やっと手術を決断した。

結石は男性が女性の2.4倍の多さ

結石は多くの場合は腎臓でできる。ただし腎臓の中にあるうちは、無症状のことがほとんどだが、結石が尿管や膀胱、尿道へと下がってくる時に、痛みが生じるという。そして結石ができても、尿と一緒に自然に排出されたりする場合もある。

また病院で受けた超音波検査やCT検査で偶然、見つかることもある。尿路結石は年々増加しており、一生の間に尿路結石にかかる割合は、男性が7人に1人、女性は15人に1人程度で、男性の患者数は女性の約2.4倍という。

結石のある場所や大きさなどにもよるが、直径5ミリ以下など小さい場合には、痛みを和らげたり排石を促したりする投薬治療がなされる。それより大きい場合には体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や、経尿道的尿路結石破砕術(TUL)と言われる治療法が用いられる。

ESWLは、体の外から衝撃波を当てて結石を割る方法だ。患部の近くにあてがったウォーターバッグを通じ、結石に向けて衝撃波が放射される。ただし、結石のある場所や体形によっては衝撃波が打ちにくかったり、伝わりにくいケースもある。そこで最近は、より確実に結石を壊せるTULを用いるケースが増えている。

尿道から細い内視鏡を差し込み、レーザーなどで結石を直接砕く治療法だ。モニターで結石を見ながら破砕したり、破片を取り除いたりできる。今は撮影画像の精度が上がり、内視鏡そのものも最新型は直径2mm程度まで細くなるなど、高性能化が進んでいる。

全身麻酔が必要だが、入院期間は2泊3日程度で済むそうだ。尿路結石は5割程度が再発するとされる。なので予防するには結石ができにくい生活を心がける必要がある。

まず水分を多く取ること。水分が少ないと尿が濃くなり結石を作る成分が増えると言われている。 1日に2リットルを目標にし、コーヒーや紅茶、緑茶といったシュウ酸が比較的多く含まれる飲み物は注意が必要だ。

結石自体は9割方がカルシウム系の成分でできている。中でもシュウ酸カルシウムが多いという。ほうれん草やたけのこ、チョコレートといった、シュウ酸を多く含む食べ物も、過剰に取らない方がいい。また動物の内臓や魚の卵、干物、だし汁などプリン体の多い食品も摂り過ぎないようにしよう。過剰な塩分や糖分も、尿中のカルシウムを増加させる。患者数が増えた背景には、食生活の欧米化や肥満もあるとされる。栄養バランスの良い食事や適度の運動が大切である。

コレステロールが上がらないように注意を

「石」は肝臓で作られる胆汁をためておく胆のうや、胆汁の通り道の胆道でできることもある。それが胆石症だ。結石ができる場所によって胆のう結石、胆管結石、肝内結石に分けられる。

胆のう結石の大きな原因は、コレステロールが結晶化することだと言われている。一方、肝管結石は、侵入した細菌の影響が指摘されている。結石が胆のうや胆管の中を移動する時に痛みが生じたり、炎症を起こして発熱することで気づくケースが多く、黄疸が見られる場合もある。ただし結石の大きさと痛みの強さは、必ずしも比例はしないという。

日本での患者数は女性が多かったが、最近は男性の増加が目立つ。男性に肥満が増えたことなどが関係しているとみられるという。胆のう結石の手術には、主に腹腔鏡を用意して、胆のうを取り出す方法が用いられる。腹部に3か所程度、小さな穴を開けるだけで済み、従来行われてきた開腹手術よりも、手術時にできる傷は小さく、患者の負担も少ない。

腹腔鏡手術の入院期間は3～4日が一般的で、開腹手術では10日間程度は必要だから、入院日数も相当短くなり回復も早いのだ。痛みが生じたのに摘出せずにいると、痛みを繰り返すなどをして、胆のうと胆管や周りの臓器との癒着が進み、病状が悪化することが多くなる。