【投稿】フィンランドの初体験

私もこの歳になり、ついに初体験をした。何がって？それはフィンランドサウナのこと。

フィンランド式とは各々見解の分かれるところだが、とりあえずサウナにロウリュ機能があること。冷水浴ができること。外気浴ができること、の三つを備えているのが条件である。

高温で熱したストーンに水をかけるセルフ・ロウリュが、フィンランドでは古くからのやり方だけれども、 ここでは15分ごとに自動的に水がかかるオートシステムだ。

たっぷり汗をかいたら次は冷水浴に進む。冷え冷えの17度の水を満たした一人用のタブに足元からそーっと入り、ゆっくり身を沈めて行く。

冷たいのは最初の15秒ほどで、この後確実に訪れるぶっ飛んだ快感を脳が覚えているので、少したつと非現実的な浮遊感がやってくる。

今度はタオル地のポンチョを着て、すぐ脇の屋外へ出る。アウトドア用のベッドに横たわり、目をつぶると、視界を占めるのは青空だけ。時々鳥が連れ立って飛んで行く。目を閉じるとすぐ近所を走る中央線の電車の音が定期的に耳に届くけれど、音楽みたいに聞こえてくるのは何故だろう。

この1セットを2～3回繰り返すうち「サ道」方面の方々が言う「ととのう」 という境地にいたるということだが、自分が本当に「ととのっている」のかどうかはちょっと自信がない。

行ったこともない遥か遠くのフィンランドを思いながら、中央線の街のビルの中にも、それなりの爽快感と想像力を掻き立てるフィンランドという国はすごい国なんじゃあないかと想像する。

春の空の下、素肌を晒しながら飲む一口の水が、五臓六腑をさらさらと駆け巡った。