卒業の春…再会の準備を始めよう

1本の樹にもー新米教師奮闘記㉒

スポーツの秋。中央体育祭が終わると学校の一大イベントのひとつである運動会が待っている。目玉はもちろん全校生徒によるマスゲームだが、中でも今年の注目は舞踊〈万豊年〉である。こんな小さな学校であの大作をやろうというのだから、もう驚きを通り越して無謀にさえ思えてくる。

学生数が少ないこの学校では、時に先生もマスゲームに動員される。社会人1年生のヒョングは当然のごとくマスゲームに動員された。学生たちの最後尾で組体操をしハイライトの「4重塔」では中3に混じって土台となる。(教員なのにマスゲーム皆勤賞…何か俺も学生みたいだな…)

実はヒョングは高校時代はブラスバンド部だったので、マスゲームに参加するのは中級部以来である。懐かしさも相まって学生たちとの練習が新鮮にさえ思えた。最初は失敗ばかりだった「4重塔」は練習を重ねた結果、秩序のある安定した「4重塔」と変化した。残る心配は天気だけだ。運動会の2日ほど前から雲行きが怪しく、当日の天気予報は雨である。

運動会の当日。ヒョングは朝5時半頃にたたき起こされた。夜半まで続いていた雨は上がったが、運動場は所々に水溜りができていて至急の処置が必要だったのである。(こんなに水たまりだらけで大丈夫か? 運動会はできるのか?)ヒョングは少し心配になった。学生たちはもちろん同胞たちも楽しみにしている運動会、せっかく雨が上がったのにこんなコンディションでは開催は難しい。

だが、教員たちは諦めてはいない。グンサン先生はバケツとスコップを準備して先に作業を始めていた。教務主任や通勤組の教員たちも早くから集まっていた。「先生たち!我々の力で運動会を定時に始めましょう!」教務主任が先生たちにゲキを飛ばした。その言葉に応じるように先生たちがテキパキと動き出す。ある者はスコップで、またある者は大きな布を何人かで広げて水を吸わせる…

いつの間に加わったのか寮生たちも一緒になってバケツを運び水たまりに砂をかける。席取りのために早く来た学父母たちも作業を手伝ってくれた。

作業すること2時間、運動場から水たまりが消えた。時計は既に8時を回っていた。運動会の開始は9時である。果たして間に合うのだろうか。猛スピードで旗を吊るして新しいラインを引いて…運動会の準備完了。どうにか開始時刻に間に合った!