韓国旅客船沈没事故から10年、真相究明はいつ？ 

月日が変わるのは早いもので、韓国南部の沖合で旅客船が沈没し、高校生など299人が亡くなった「セウォル号事件」から10年になった。 4月16日には、韓国各地で追悼式典が行われ、遺族らは調査委員会が明確に示していない事故原因の究明などを政府に求めた。

2014年の4月16日、韓国西部の仁川を出発し、済州島に向かっていた旅客船セウォル号、いまだ5人の行方がわかっていない。全羅南道の木浦沖の現場海域では、遺族や知人およそ40人が海洋警察の船の上で追悼行事を行った。

2022年10月には、ソウルの繁華街・梨泰院で、若者ら１５９人が死亡する雑踏事故が起きた。警察の対応の遅れから「セウォル号の教訓が生かされなかった」との非難を浴びた。

今年１月には韓国の国会で多数派の野党が、事故の真相を究明する特別調査委員会の設置を柱とする特別法案を可決したのに対し、尹大統領は拒否権を行使。真相究明を名目に政権への政治的な攻撃が果てしなく続く事態を避けようとしたとみられている。

しかし今月10日の総選挙で圧勝した野党側は、法案の再可決を目指している。セウォル号事故の遺族団体も、梨泰院事故の犠牲者遺族らと連携して、特別法の制定を要求。沈没事故から10年を機に、国民の生命と安全を巡る問題が再び争点化しようとしている。

このような痛ましい事件も、韓国では真相究明はおろか、事件の責任を巡って政争の具にしようとしている。